2010 Fiscal Year Annual Research Report
マグネットホスピタルの規定要因:医師・看護師等の職場選好の構造分析
Project/Area Number |
20790388
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林田 賢史 産業医科大学, 病院, 准教授 (80363050)
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Keywords | 医療経済 / 医療政策 / 医療経営 / Human Resource Management / 組織文化 |
Research Abstract |
本研究は、コンジョイント分析を用いて、医療従事者(医師や看護師)が自らの職場を選択する際、どのような項目(属性)をどの程度(相対的に)重視するか、職場選好の構造を明らかにする研究である。具体的には、「給与(年収)」、「勤務時間」、「夜勤の回数」等の病院属性に関して水準の異なる2つの病院プロファイルを提示し、より就業したいと考える病院を選択してもらう質問紙調査を実施する。 2010年度は研究期間の最終年度にあたるため、昨年度までの成果をもとに、質問紙の最終版の作成、データ収集・分析を実施した。質問紙(最終版)は、2つの異なる病院プロファイルから1つを選択してもらう質問9問に回答者の属性を尋ねる質問を加える形式で構成した。その際、職場に求める病院属性やその属性において選択に影響を与える水準が、職種によって違うことが想定されるため、医師用と看護師用で異なる複数の仮想的な病院プロファイルを、直交表を用いて作成した。データ収集に関しては、中国地方と九州地方の3病院の医師と看護師を対象に2011年2月に質問紙調査を実施した。質問紙の回収数は、医師と看護師それぞれ186(回収率48.3%)と992(回収率80.5%)であった。収集したデータを分析したところ、職場を選択する際、医師に関しては「少ない夜間宿直回数」「学会への参加サポート体制」「診療以外の業務軽減」を、看護師に関しては「教育プログラムの充実」「勤務時間」をより重視する傾向であった。 本研究では調査対象病院が少ないという限界はあるものの、医療従事者の職場選好の構造を明らかにした。これは、医療機関が優先的に取り組むべき経営課題を検討する上で参考となる知見であり、ヒューマンリソースマネジメントにおける近代化・効率化の一助となったと考えられる。
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