2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢慢性心不全患者におけるアシストペダリングの血管内皮機能へ及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
20790527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小笹 寧子 Kyoto University, 医学研究科, 医員 (30467485)
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Keywords | 血管内皮機能 / 心不全 / 運動療法 |
Research Abstract |
本研究は、高度に運動耐容能が低下しており自力での運動療法が困難である高齢慢性心不全患者における、アシストペダリング(下肢をペダルに固定し、外力による他動的な自転車こぎを行うこと)の血管内皮機能へ及ぼす影響を、阻血前後の指尖脈容積変化により評価する、ランダム化比較研究である。平成20年度は、6月に当施設の倫理委員会にてプロトコル承認を得た後より症例登録を開始し、平成21年3月末日までに9例(平均年齢79.2歳、男性4例、女性5例)の患者のデータ収集を行った。患者は封筒法にて、アシストペダリングを行う群(T群)4例/15例と、コントロール群(C群)5例/15例に振り分けられた。両群において、運動療法前後の2時点において、心臓超音波検査、身体所見、心不全マーカー(血中BNP値)を測定した。運動耐容能の客観的指標として、6分間歩行距離を測定した。また、Endo-PAT1500を用いて血管内皮機能評価(RH-PAT indexの計測)を行った。これら9例において、約2週間の運動療法施行後は、心不全重症度NmAクラスは平均2.9度から2.6度に改善を認め、血中BNP値は511.7pg/mlから458.6pg/mlに改善を認めた。6分間歩行距離は、平均168.6mから240.3mに改善を認めた。また、RH-PAT indexについては、平均1.63から1.74に改善を認めた。各群ともまだ症例数が少ないため、群間比較の検討は行っていない。尚、これらの9例において、本研究施行中に有害事象の発生や、脱落症例は認めていない。本研究は、アシストペダリングの効果を検証するとともに、従来運動療法が困難であった高齢慢性心不全患者に対する有効な運動療法の方法開発の手がかりとなると思われる。平成21年度は引き続き患者のデータ収集を行い、目標症例30例のデータ収集完了後に解析検討を行う予定である。
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