2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢慢性心不全患者におけるアシストペダリングの血管内皮機能へ及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
20790527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小笹 寧子 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30467485)
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Keywords | 血管内皮機能 / 心不全 / 運動療法 |
Research Abstract |
本研究は、高度に運動耐容能の低下している高齢慢性心不全患者におけるアシストペダリング(下肢をペダルに固定し、外力による他動的な自転車こぎを行うこと)の血管内皮機能へ及ぼす影響を、阻血前後の指尖脈容積変化により評価する、ランダム化比較試験である。 対象は、2008年8月より2010年3月までに当院心臓リハビリテーション部門に紹介された高齢心不全患者のうち高度の運動耐容能の低下を認めた27例である。これらの患者について、文書での同意を取得の上、封筒法によりアシストペダリングを行う群(T群)13例と、従来型の運動療法を行うコントロール群(C群)14例に割り付けた。T群では、椅子に座って行うストレッチ体操と低強度レジスタンストレーニングに加えて、連続で15分間のアシストペダリングを行った。C群では、アシストペダリングは行わずに椅子に座って行う足踏み運動を行った。両群とも2週間の運動療法を行った。両群において、運動療法開始前後に、血管内皮機能評価(Endo-PAT2000によるRH-PAT indexの測定)、運動耐容能評価(6分間歩行距離の測定)、左室拡張機能評価(心臓超音波検査によるE/e'の測定)を行った。アシストペダリングを行ったT群(13例)において、運動療法開始前後のRH-PAT indexの中央値は1.44から1.68へと改善傾向を認めた(対応のあるt検定;p値=0.07)。一方、C群では運動療法開始前後のRH-PAT indexの中央値はそれぞれ1.64および1.51であり、変化は認められなかった(対応のあるt検定;p値=0.9)。T群において、運動療法開始前後の6分間歩行距離の中央値は160mから250mへ改善した(対応のあるt検定;p値=0.0005)。C群においても、運動療法開始前後の6分間歩行距離の中央値は145mから212mへ改善した(対応のあるt検定;p値=0.0008)。両群において、左室拡張機能の変化は認められなかった。 今回の検討により、高度の運動耐容能低下を認める高齢慢性心不全患者の運動療法としてのアシストペダリングの有用性が示唆された。
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Research Products
(7 results)