2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期膵臓領域化を規定する新規膵臓分化誘導因子の特定
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20790652
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
勝本 恵一 Kumamoto University, 発生医学研究センター, COEリサーチ・アソシエイト (40398227)
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Keywords | 膵臓 / ニワトリ / 内胚葉 / 細胞運命予定地図 / DiI / Pdx1 / 移植実験 / 中胚葉 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトに似た発生様式を持つニワトリ胚を用い、初期内胚葉成立メカニズムに焦点を絞り、その中でも、膵臓形成に着目した。DiI結晶を用いて、初期内胚葉における詳細な細胞運命予定地図を作製した結果、膵臓前駆細胞はヘンゼン結節周辺に存在し、予定胃、腸領域内胚葉は、膵臓前駆細胞を取り囲む形で存在する事を明らかにした。経時的に観察した結果、膵臓前駆細胞は、発生の進行に伴い、連続的に尾側に移動する事がわかった。細胞運命予定地図を基に、細胞移植実験を行なった結果、胃、腸、膵の順序で、内胚葉の領域化が決定する事がわかった。まだ運命が決定していない予定小腸領域内胚葉を予定胃領域に移植すると異所膵を形成した。さらに、運命が決定していないstage 5側方内胚葉を予定胃領域に移植しても、insulin、glucagonを分泌する異所膵が形成された。予定胃と膵臓の内胚葉を裏打ちする中胚葉は、膵臓誘導シグナルを出しており、予定膵臓、小腸内胚葉は、この膵臓誘導シグナルに応答する。中胚葉と内胚葉は、発生の進行に伴い移動して位置を変え、それぞれの移動速度に差があり、膵臓誘導シグナルを出す領域とそれに応答する領域が重なる領域から膵臓が発生してくる。このように、初期内胚葉の領域化は、頭側と尾側から進行し、さらに膵臓領域が形成されるためには、中胚葉と内胚葉が移動して、移動速度の差により生じた中胚葉と内胚葉の重なりが決定的な役割を担っていることを明らかにした。この研究成果は、初期膵臓形成メカニズムを分子レベルで解明するための、大きなヒントになる。
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