2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期膵臓領域化を規定する新規膵臓分化誘導因子の特定
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20790652
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
勝本 恵一 Kumamoto University, 発生医学研究所, GCOEリサーチ・アソシエイト (40398227)
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Keywords | 膵臓 / 内胚葉 / ニワトリ / 細胞運命予定地図 / DiI / インスリン / アミラーゼ / β細胞 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトに似た発生様式を持つニワトリ胚を用い、膵臓形成に着目した。初期の膵臓形成は、背側膵臓、腹側膵臓の2カ所の予定領域から独立して進行し、後の腸回転運動により腹側膵臓が背側膵臓に融合することによって行われる。従来の説では、予定腹側膵臓領域は10体節期において、第7~9体節の側方に存在すると報告されていた。しかし、本研究において、DiI結晶を用いた方法で、10体節期の第7~9体節の側方内胚葉を細胞標識し、その後の発生過程を追跡したところ、この領域には腹側膵臓ではなく、背側膵臓および腸領域の前駆細胞が存在することを確認した。次に、腹側膵臓の起源を特定する目的で、各ステージの各領域を標識して詳細に追跡したところ、15体節期までは、腹側膵臓単独に分化する領域が存在しておらず、腹側膵臓の前駆細胞は、腸もしくは胆管と共通の前駆細胞として存在していた。そして、17体節期になって初めて第4体節の側方に腹側膵臓単独の前駆細胞が現れることを明らかにした。勝本らの研究より、背側膵臓前駆細胞は、原腸陥入後のヘンゼン結節周辺に出現する事から(Katsumoto et al., 2009)、背側膵臓と腹側膵臓は、その発生起源が異なるのみならず、その機能も異なる可能性が示唆された。背側膵臓には、インスリン産生細胞およびアミラーゼ産生細胞が存在するのに対し、背側膵臓に融合する前の腹側膵臓においては、インスリン産生細胞が存在せず、アミラーゼ産生細胞のみが存在した。このことは、インスリンを産生する膵臓β細胞の分化には、膵臓を取り巻く環境が大きな影響を与えていることを示唆する。今後さらに背側膵臓と腹側膵臓の形成過程を比較することで、膵臓β細胞の分化メカニズムを解明できるかもしれない。
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