2009 Fiscal Year Annual Research Report
模倣におけるアスペルガー障害児の脳血流変化と社会的スキルの関連についての検討
Project/Area Number |
20790842
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 あい子 Hiroshima University, 病院, 病院助教 (00448250)
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Keywords | 近赤外分光法 / アスペルガー障害 / ミラーニューロン / 社会的スキル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、同様の課題(書字による語流暢課題、動作の観察、動作の模倣)において、近赤外分光法による脳血流測定を行った。測定には日立メディコETG-100を用いた。 結果として、昨年度と合わせて健常児8名、アスペルガー障害児7名の測定を行った。そのうち、ノイズが多く解析不能なものを除外し、解析対象は健常児5名、アスペルガー障害児5名となった。各課題におけるOxy-Hb変化量を求め、比較群(健常群と疾患群)、測定箇所(24チャネル)、課題(動作の観察・動作の模倣)において3要因の分散分析を行った。結果、比較群・課題の主効果は有意とならなかったが、測定箇所では有意差を認めた。さらに測定箇所について多重比較検定を行ったところ、Ch3とCh10、Ch10とCh14、Ch10とCh15、Ch10とCh17、Ch10とCh20の5つの組み合わせで有意差を認めた。Ch10は動作の観察・模倣のどちらにおいても血流増加の傾向が見られ、一次運動野と推測された。ミラーニューロンシステムの中核部位であるBroca野に当たると推測されるCh1では、血流増加は健常群において高い傾向が見られたが、有意差は生じなかった。また、社会的スキル能力の評価では、疾患群と健常群において、新版SM社会能力検査の「身辺自立」「意思交換」「集団参加」「自己統制」の4群において有意差を認め、上野らのソーシャルスキル尺度では、「集団行動」「セルフコントロール」「仲間関係」「コミュニケーション」の全てにおいて有意差を認めた。これらの評価尺度では有意差を認めるものの、今回の課題におけるミラーニューロンシステムの活動は、疾患群と健常群で差が認められなかった。しかしBroca野における血流増加は健常群において高い傾向が認められ、今後の課題作りに検討を重ね被験者数をさらに増やして行けば、有意差を生じる可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)