2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射後の肝障害シグナル伝達機構の解明とHGFによる修飾について
Project/Area Number |
20790880
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
今枝 真澄 Gunma University, 医学部, 医員 (30451727)
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Keywords | 照射後肝障害 / TGF-ベータ |
Research Abstract |
肝内病変に対する治療として, 低侵襲治療である高精度放射線治療の重要性が高まっているが中線量(30Gy)以上を照射した場合, 照射範囲内の肝臓には線維化が生じ肝機能障害を引き起こす可能性がある. これまでの研究から, 肝の組織障害により過剰産生されたTGF-betaは肝の線維化へ大きな役割を果たしていると考えられる. 肝への放射線照射における晩期有害事象としての肝線維化発生メカニズムを解明するために特にTGF-betaに注目し, これらの放射線照射後の肝細胞での発現の変化と線維化との関連を分子生物学的に研究する. 次いでこの放射線誘発肝線維化に対してHGFによる線維化防護作用や線維化肝臓修復作用について検討する. 6週齢雄ラットを麻酔下で開腹し, 肝臓を露出させ, 肝臓の背側に鉛を挿入, 周囲の腸管への照射を避けるようにセットした状態で肝照射を行った. 照射群は15Gyおよび25Gyおよび30Gyの1回照射を施行した. 未照射群, 各線量群での生存と死亡時の組織を検討した. 未照射群および15Gy照射群では2ヶ月時点で全例生存していたのに対し, 25Gy群・30Gy群では照射後約一週間前後の死亡を認め, その後4週以降に徐々に死亡が確認された. 早期死亡例では下痢症状や消化管拡張が著明であり腸管死が考えられた. 4週以降の死亡例は肝に明らかな線維化所見は認めないものの, 肝障害の所見が認められたため, 肝障害に起因する死亡が考えられた. 今後は腸管ブロック鉛を再検討し未照射群・5Gy・15Gy・30Gy群の肝照射による肝障害モデルラットを作製し, 照射後24時間・1週・2週・4週で血清及び肝組織を採取し, TGF-β, HGF, その他コラーゲン等の関連因子の発現について、照射後の経時的変化および照射線量依存があるかどうかについて検討していく.
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