2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノDDS技術を基盤とする静脈グラフト不全に対する革新的ナノ医療の創製
Project/Area Number |
20790992
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 聡 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (50467916)
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Keywords | 心臓大血管外科学 / ナノテクノロジー / 静脈グラフト |
Research Abstract |
虚血性狭心症の原因である動脈硬化病変に対して自己静脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術が広く行われているが、再狭窄が高率に発生し、再手術を行わなければならないという大きな問題を抱えている。この問題は患者のQOL(生活の質)を低下させるだけでなく、医療費高騰の原因ともなりその根本的解決が広く望まれている。本研究の結果、独自のナノDDS製剤技術を用いて臨床で内服薬として使用されているイマチニブのナノ製剤化に成功した。さらに、蛍光マーカー(FITC)封入ナノ粒子が効果的にヒト内皮細胞ならびに平滑筋細胞内に送達されることを蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて明らかに示した。次に、イマチニブ封入ナノ粒子のヒト血管平滑筋細胞に対する増殖抑制および遊走抑制効果を培養細胞により明らかにした。イマチニブ封入ナノ粒子は同濃度のイマチニブ原末よりも強い力価を有することを示した。その分子機序の一つにPDGF受容体リン酸化抑制が関与する事を免疫沈降法により明らかにした。次に、このイマチニブ封入ナノ粒子をウサギ静脈グラフト組織片にex vivoで導入させることに成功した。さらに、イマチニブ封入ナノ粒子は同じ濃度のイマチニブ原末に比べ有意に静脈グラフト後の再狭窄抑制効果を有することを明らかにした。その分子機序にPDGF受容体のリン酸化、細胞増殖の分子マーカーであるERK1/ 2のリン酸化抑制効果が関与していることを明らかにした。今後、有効性の実証が得られた本成果を臨床へ橋渡しするために、イマチニブ封入ナノ粒子のGMPグレードでの製造および動物を用いた詳細なイマニチブ封入ナノ粒子の安全性試験を実施していく予定である。
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Research Products
(4 results)