2009 Fiscal Year Annual Research Report
報酬系神経回路の抑制性介在ニューロンおよびドパミン放出に対する麻酔薬の影響
Project/Area Number |
20791087
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
石和 大 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (30457858)
|
Keywords | 報酬系神経回路 / 介在ニューロン / ドパミン放出 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
平成21年度はラット腹側被蓋野(VTA)におけるシナプス応答に対する麻酔薬プロポフォールの影響を検討する目的で、多点皿電極を用いた細胞外シナプス電位記録法を試みた。ごく低濃度(0.5μM)のプロポフォールがVTAにおけるシナプス伝達をおおよそ25%程度増強することが明らかになった。また、より高濃度のプロポフォール(5,50μM)では、VTAにおけるシナプス伝達はを抑制することが明らかになった。しかしながらこの方法ではプロポフォールの洗い出しが不十分であり、また、安定したシナプス電位を記録することが困難だったため、以降通常のスライスパッチ法に切り替え実験を行った。スライスパッチ法を用いたシナプス電に対するプロポフォールの作用は、0.5μMでは147±15.1%、5μMでは66.7±5.7%、50μMでは16.1±7.3%と多点皿電極を用いた実験と同様であった。また、VTAのドパミンニューロンに対する膜電位固定法による実験では、低濃度のプロポフォールによって内向き電流を生じる細胞は12個中8個で、0.5μMでは基準値と比較して-34.4±13,1pAの外向き電流を生じた。K channelに対する作用については、ボルテージステップをかけると以後の電流が不安定になり、評価可能なデータが取得出来なかった。予定していたラットを用いたインビボ微小透析法は当研究室で所有する高速液体クロマトグラフィーが長期にわたって故障していたことに加え、研究代表者の移動に伴う研究時間の制約があり、実現できなかった。現在、電気生理学的研究データを解析し、学術論文として投稿準備中である。
|