2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791196
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉延 潤子 Okayama University, 医学部, 技術職員 (80448224)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本年度では、骨髄細胞を用いた嗅球障害マウスの嗅覚機能回復を目指し、(1)サイトカインを用いた骨髄細胞の取り込み率増加に関する検討(2)サイトカイン投与群・未投与群における移植骨髄細胞の嗅球構成細胞への分化動向解析(3)嗅球障害後における移植骨髄細胞の動向に関する検討を行った。 (1) X線照射後に骨髄移植(GFPマウス由来骨髄細胞の経静脈移植)・嗅球障害(薬剤投与)を施したマウスを作製し、サイトカイン(G-CSF, G-CSF+SCF, SCF)投与群、サイトカイン未投与群に分けて組織学的観察を行った。骨髄細胞の取り込み率検討では、嗅球組織内でのGFP陽性細胞をカウントし、単位面積あたりの陽性細胞数を比較した。その結果、G-CSF+SCF投与群においてサイトカイン未投与群との有意差が認められ、G-CSF及びSCFの単一投与より複合投与の方が骨髄細胞の取り込み率を増加させることが判明した。 (2) (1)で作製した各条件下での嗅球組織切片を用いて、抗GFP抗体と各種抗体(神経細胞同定抗体:TBX21, Arx等、グリア細胞同定抗体:GFAP, Iba1等)との蛍光2重免疫染色を行った。その結果、いずれの条件下でもGFP陽性細胞はグリア細胞とのダブルポジティブが多く観察された。 (3) 骨髄移植・嗅球障害を施したマウスを作製し、障害から経時的に嗅覚組織を視察した。嗅上皮と嗅球の組織障害は異なる時期に観察され、各組織でのGFP陽性細胞も障害観察時に多く見られた。 以上より、サイトカイン複合投与は、骨髄細胞を用いた嗅球障害マウスの嗅覚機能回復において大きな因子となることが示唆された。また、移植骨髄細胞の多くがグリア細胞に分化していたことから、骨髄細胞は神経細胞の修復等への積極的関与が示唆された。さらに、薬剤投与による嗅上皮及び嗅球の組織障害にはタイムラグがあることから、目的とする嗅覚組織の再生にこのタイムラグの活用が示唆された。
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