2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境酸素濃度に対する角膜構成細胞の増殖,細胞死,細胞機能に関する研究
Project/Area Number |
20791256
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳井 亮二 Yamaguchi University, 医学部・附属病院, 助教 (10346554)
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Keywords | 環境酸素濃度 / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の究極の目的は環境酸素濃度の変化が角膜上皮細胞, 実質細胞へ与える影響を解析することにより, より深く角膜の生理機能およびCL装用による角膜構成細胞に対する影響について理解することである。上皮系細胞が高分化すると様々な環境の変化や角膜障害から防御するためにバリアー機能が作動する。本年度は, このバリアー機能を角膜上皮細胞が有する細胞機能として評価するため種々の酸素濃度曝した細胞溶解液を用いて, 細胞間密着結合を構成する蛋白質の一つであるZO-1の発現を検討した。 【目的】角膜上皮のバリアー機能は, Tight-Junction構成蛋白質の発現により制御されており, バリアー機構の形成にZO-1が重要である。我々はこれまでに低酸素によりZO-1の発現が低下することを報告した。今回我々は角膜上皮細胞におけるTight-Junction構成蛋白質ZO-1の発現および細胞内信号伝達系に対する低酸素-再酸素化の影響について検討した。【方法】SV40を導入したヒト角膜上皮細胞を5%CO2, 95%空気(21%O2に相当)で継代培養した。21%酸素下で4日間培養後, 1%酸素下で6時間培養し, その後1, 11, および21%酸素下で6時間培養した。細胞溶解液をZO-1, occludin, claudinに対する抗体およびERK1/2, JNK, p38 MAPK, ERK5, Akt, Blc-2に対するリン酸化抗体を用いてWestern blottingを行った。【結果】低酸素で培養した細胞に比べ低酸素から再酸素化を行って培養した角膜上皮細胞のZO-1の発現が増加した。低酸素および再酸素化の培養は角膜上皮細胞のoccludin, claudinの発現には影響しなかった。低酸素で培養した細胞に比べ低酸素から再酸素化を行って培養した角膜上皮細胞のp38 MAPKおよびERK5のリン酸化が増加したが, ERK1/2, JNK, Akt, Blc-2のリン酸化には影響しなかった。【結論】低酸素から再酸素化することによりMAPキナーゼファミリーを介した細胞内信号伝達系が活性化され, 角膜上皮細胞のバリアー機能が向上していることが示唆された。
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