2009 Fiscal Year Annual Research Report
両生類モデルを用いた歯の再生に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
20791345
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
三輪 容子 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 講師 (80409218)
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Keywords | 歯学 / 両生類 / 歯胚 / 血管 / 再生 / 免疫染色 / エナメル芽細 / 象牙芽細胞 |
Research Abstract |
有尾両生類アカハライモリは多生歯性であり顎骨の中には継続歯胚が連続的に観察できるという特長がある。また再生能に優れ、顎骨の一部を切除後に歯や歯周組織も含めた顎部がほぼ完全な形で再生する。平成20年度には血管内皮増殖因子VEGFと歯胚形成との関係を研究し続いて今年度は骨や骨格筋に影響を与える因子である甲状腺ホルモン(TH)がアカハライモリの歯胚の発生および再生に与える影響に着目した。THは甲状腺から分泌され、細胞核内にある甲状腺ホルモンレセプター(THR)と結合し骨や骨格筋の発達促近作用やエネルギー産生促進作用を発揮する。また脊椎動物間で甲状腺ホルモンの化合物の構造はほぼ保存されており、レセプターを介した作用はほぼ共通の機構である。今回アカハライモリの歯の発生および顎顔面組織の再生過程における甲状腺ホルモンレセプターの発現を免疫染色法とin-situハイブリダイゼーションを用いて局在性を検討した。アカハライモリにおけるTHRの遺伝子配列は近縁種からジェネレートプライマーを作成し相同遺伝子を得て同定した。この配列を用いてin-situハイブリダイゼーションを行い遺伝子の発現を検討し、さらに免疫染色法にてアカハライモリ顎顔面部のTHRの局在性を検索した。in-situハイブリダイゼーションでは歯胚においては象牙芽細胞の歯冠側で強い反応が見られた。また咀嚼筋、骨などの諸器官にもmRNA・タンパク発現がみられた。本研究助成を通じてアカハライモリの顎顔面の再生にVEGF, VEGFレセプター,THRが関与していることを明らかにし数編の報告を行った。近年歯周病やう蝕により喪失した歯を血管や神経、歯周組織を含めて再生し口腔内で機能させる再生治療の必要性は高まってきており、両生類の再生機構をヒトへも応用することで国民の口腔のクオリティ・オブ・ライフ向上に貢献していきたい。
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