2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しいヘルパーT細胞から解明するシェーグレン症候群の唾液腺における病態発現機序
Project/Area Number |
20791370
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 梓 Tohoku University, 病院, 医員 (90463778)
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Keywords | シェーグレン症候群 / 唾液腺 / IL-18 / IL-17 / Th17 |
Research Abstract |
本研究の最大の特徴は、ヒト唾液腺組織から分離培養した初代培養細胞を用いた分子生物学的な検討から、シェーグレン症候群の唾液腺の病態発現機序を明らかにしようとすることである。新しいヘルパーT細胞であるTh17細胞は、ナイーブT細胞からの分化と成熟、増殖には様々なサイトカインが関与していることが明らかになってきているが、IL-18やIL-6、IL-8もそれに含まれると考えられている。平成20年度には、ヒトから得た下唇小唾液腺から初代培養細胞の分離し培養する方法を確立した。続く平成21年度には、この方法を用いて健常ボランティア5名から下唇小唾液腺を採取・培養し、唾液腺由来細胞におけるIL-18およびIL-17の相互作用の検討を行った。それぞれの唾液腺由来細胞をIL-18とIL-17で共刺激することによって、IL-8の産生に変化を示すことが明らかとなった。このことは唾液腺が発現するIL-18がシェーグレン症候群の腺組織に浸潤してきたTh17細胞から産生されたIL-17と共同して、唾液腺細胞からの炎症メディエーターの産生を誘導することにより、T細胞の分化誘導および成熟や増殖を促進し、唾液腺組織における病態発現に重要な役割を果たしていることを示している。興味深いことに、唾液腺由来細胞にはこの共刺激によってIL-8の産生が相乗的に増加する細胞と、相乗効果なく増加する細胞があり、また多くの研究で頻用されている唾液腺細胞株(HSY、AZA3など)とは異なりIL-6の産生には著明な増加を示さないことが明らかとなった。この原因としてドナーによる個体差も十分に考えられる。この検討をさらにすすめることでシェーグレン症候群の病態発現に関与する因子が明らかになり、疾患の早期診断と予防、治療方法の確立につながることが期待できる。このことから、本研究の成果に意義があると考える。
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Research Products
(2 results)