2011 Fiscal Year Annual Research Report
カプサイシンを利用した、骨欠損修復メカニズムにおける感覚神経の役割に関する研究
Project/Area Number |
20791488
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 恵 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20431512)
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Keywords | 骨 / 感覚神経 / 修復・再生 / カプサイシン |
Research Abstract |
本研究計画では、骨欠損修復メカニズムにおける感覚神経の関与を明らかにすることを目的として、ラットを実験動物とし、カプサイシンを用いて感覚神経の機能を抑制した実験群と感覚神経の機能が正常な対照群とで骨欠損修復における経時的修復骨量および骨芽細胞と破骨細胞の活性について比較検討した。 平成23年度は、骨欠損修復時の骨芽細胞と破骨細胞の活性を調べるために、それぞれのマーカー分子であるオステオカルシンとカテプシンKのmRNA発現を定量解析した。ラット頭頂骨に直径3.8mmの規格化骨欠損を作製し、実験群と対照群とで術後1・2・4・6週における修復骨部のオステオカルシンとカテプシンKのmRNA発現をリアルタイムPCR法を用いて定量し、統計学的に比較検討した。その結果、オステオカルシンとカテプシンKのmRNA量は、両分子ともにどのタイムポイントにおいても有意差が認められなかった。また、骨修復部のX線写真上で、実験群にのみ正常な治癒過程に至らず既存の骨部の吸収を起こす例が2例認められた。その部位を組織学的に観察したところ、両試料ともに、骨吸収部に破骨細胞と考えられる多核の細胞が見られた。そして、これまでの研究成果をまとめ、Journal of Electron Microscopy 60(6):393-400に掲載した。 現在、この研究で利用したカプサイシンが三叉神経に与える影響について検討中である。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて三叉神経の形態学的変化を観察し、さらに痛覚の神経伝達物質であるsubstance PのmRNA発現を経時的に定量解析し、統計学的に検討予定である。
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