2009 Fiscal Year Annual Research Report
音声同期圧力分布測定システム(I-SCAN)を利用した構音障害診断法の開発
Project/Area Number |
20791588
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
杉山 智美 Showa University, 歯学部, 助教 (20433823)
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Keywords | 構音障害 / 言語発達 |
Research Abstract |
言語の発達は小児の精神・心理発達のなかにおいて重要なものの1つである。言語発達に大きな影響持つのは、脳の発達による脳の成熟と環境からの刺激、そして構音器官である口腔の発達である。従来は言語と口腔の関係について検討する報告は非常に少なかったが、近年、MR法を利用した構音機能の検討やなど新しい試みも行われている。本研究は、構音に大きな影響を与えると考えられる舌圧の定量化を行い、音響と照らし合わせることによって、舌圧が構音に与える影響を検討し、患者に対する客観性のある診断法の確立を行うことを目的とした。今回は健常児・健常成人の分析後,器質的構音障害を起こしやすい,口唇口蓋裂児に対してさらなる検討を行った。 被験者は健常小児(乳歯列完成期)・口唇口蓋裂児とした。すべての被験者に対し、本研究の目的及び方法について説明を行い、同意を得た上で構音の録音を行った。 被験音は、子音[s][∫]とし、先行及び後続母音[a]を接続したVCV音節[asa][a∫a]とした。[asa][a∫a]の波形をケプストラムを利用して分析を行い,最大周波数・舌圧をそれぞれのグループで比較した。また,音響分析のみではなく聴覚による診断も並行して実施した。 口唇口蓋裂児に関しては口蓋化構音が最も多いと聴覚印象で診断された。 音響分析による最大ピーク値測定値は健常小児と口唇口蓋裂児を比較したところ,健常小児と比較して口唇口蓋裂児の方で最大周波数は低く,舌圧は安定しないという傾向がみられた。 口唇口蓋裂児のように構音器官として重要な口腔内に問題を抱える患者では構音が安定せず,器質的な改善が行われた後も言語にたいする問題点に対する治療が必要であることが示唆された。
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