2010 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドを介する歯周病と動脈硬化性疾患の関連性
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20791619
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 結実子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (40433081)
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Keywords | 歯周病 / 内性カンナビノイド / 脂質代謝 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
22年度は、歯周病患者における治療前または治療中と歯周病治療が終了しメンテナンスに移行した患者における末梢血中の総コレステロール(T-CHO)、トリグリセライド(TG)、内因性カンナビノイドとしてアナンダマイド(AEA)、2-AGを測定した。いずれも治療前または治療中とメンテナンス中では有意な差は認あられなかったが、TG,AEA,2-AGでは、治療前または治療中の患者においてメンテナンス中の患者に比べ高い値を示す傾向が認められた。また特に治療前または治療中の患者の中で心疾患罹患握のある患者において高い傾向が認められた。また本研究の予備研究として行った歯周病モデルラットの血清中のアナンダマイド濃度は、歯周病罹患後10日ではコントロールと比較し有意に高い事を確認した。2-AG、および罹患後6週間後では両群間に有意な差は認められなかった。 以上の結果より、歯周病に罹患することは脂質代謝に影響を及ぼす事が示唆された。内因性カンナビノイドは細菌感染においてLPS刺激によりマクロファージや血小板から産生されることが報告されている。歯周病においても、原因菌の感染により歯周組織局所で内因性カンナビノイドが産生され全身の脂質代謝に影響を及ぼしていると考えられる。歯周病と全身疾患に関連性が注目されて久しい。本研究結果では、歯周病と全身疾患、とりわけ脂質代謝、動脈硬化症との関連を結びつける一助となると考えられる。
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