2009 Fiscal Year Annual Research Report
唾液の活性酸素消去能と歯周疾患の関連性の解明および新規歯周疾患評価指標の構築
Project/Area Number |
20791622
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉野 文彦 Kanagawa Dental College, 歯学部, 講師 (20308307)
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Keywords | 唾液 / 活性酸素 / 歯周疾患 / 電子スピン共鳴 / 抗酸化 / 診断 |
Research Abstract |
平成20年度の結果に基づき、歯周病原菌を感染させた歯周病モデル動物を作成し唾液の活性酸素消去能変化、およびヒトに対し当該研究室で抗酸化能を報告している動物性ペプチド(fish products peptide: FPP)の経時的投与による歯周疾患マーカーと唾液抗酸化能の関連性について以下の実験を行った。 【実験1】歯周病原菌感染による唾液抗酸化能の変化 Wistarラットに対しPorphyromonas Gingivalis (PG)を感染させ、その後Isoproterenol+Pirocarpineにより唾液腺を刺激し、分泌した唾液を採取後、電子スピン共鳴法により唾液抗酸化を測定した結果、PG感染群においてPG非感染群と比較し有意にスーパーオキシド(O_2^-)に対する消去能が亢進した(p<0.05)。また、ヒドロキシルラジカル(HO)に対する消去能に変化は認められなかった。 【実験2】抗酸化剤を用いた唾液ROS消去能の向上と新規指標の構築 ボランティアに対しFPPを60日間投与した結果、O_2^-に対する消去能は有意に低下したがHOに対しては有意に増加した。また、FPP摂取によりpocket depthのわずかな減少、および刺激時唾液量(ガムテスト)の増加が認められた。 以上より、唾液のO_2^-に対する消去能の亢進はPG感染により炎症が惹起され、結果O_2^-を消去することで口腔環境の恒常性を維持するため誘導される現象である可能性が示唆された。そして抗酸化剤投与によりO_2^-に対する消去能の低下を認めたが、恒常的に生体内で細菌などによる炎症性刺激が生じた場合、抗酸化剤は唾液抗酸化能や唾液分泌量に変化を生じさせ、その結果歯周疾患改善や進行抑制が可能であることを推察させた。加えて、O_2^-に対する消去能測定は今後客観的な歯周疾患診断や予後判定に対する新規指標として確立可能であることが考えられた。
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Research Products
(3 results)