2010 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦のストレス緩和を目的としたアロマセラピーの短期的・長期的効果の研究
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20791750
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
五十嵐 稔子 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50347473)
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Keywords | アロマセラピー / 酢酸リナリル / リナロール / 妊娠 / 妊婦 / 無作為比較試験 / ストレス |
Research Abstract |
妊娠期のストレスは周産期の身体的トラブルやその後の育児にも影響する事が指摘されており、ストレスへのケアは重要である。近年、その一手段として補完代替療法が注目されている。その中でもアロマセラピーは妊婦が自ら使用できる簡便な方法であり、セルフコントロールへの利用が期待できる。これまで、非妊婦への酢酸リナリルやリナロールを含む精油によるリラックス効果が明らかにされてきた。しかし妊娠期におけるアロマセラピーの効果を検証した研究はほとんどない。そこで、妊婦にアロマセラピーを行うことにより、妊娠中のストレス緩和や産後の育児ストレスに対して効果があるかを明らかにすることを目的とし、無作為比較試験を行った。 対象は、妊娠24週以降の妊娠経過に問題のない妊婦とし、定期妊婦健康診査の待ち時間を利用して研究へのエントリーやデータの収集を行った。対象者を封筒法によりアロマ群とコントロール群に振り分けた。アロマ群には通常のケアの他に芳香浴によるアロマセラピーを実施し、自宅でのセルフケアの方法も説明した。精油は、酢酸リナリルやリナロールを多く含む精油から好みの精油を選択してもらった。コントロール群には通常のケアを行った。測定項目は、短期的な効果としてアロマセラピー実施の前後でPOMSと自律神経系を測定した。また長期的な効果として、妊娠28週、32週、36週の時に、STAIおよびアクティブトレーサーによって日常のストレス状態を比較した。また産後は分娩時の状況や育児に関する質問紙調査を行った。 その結果、対象者は16名で、アロマ群9名、コントロール群7名となった。短期的効果ではPOMSの緊張や疲労の項目で改善がみられ、心理的効果が認められた。長期的効果では、STAIとVASに有意差があり、不安軽減とリラックスの効果が見られた。自律神経系では短期長期的効果とも有意差がみられず、さらなる検討が必要である。
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