2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ内部空間とフラーレンとの親和性に基づく位置制御ドーピング
Project/Area Number |
20810009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 行志 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (20466775)
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Keywords | ナノチューブ / フラーレン / ナノ材料 |
Research Abstract |
フラーレンとカーボンナノチューブ内部の親和性に基づく分子ふるいや位置制御ドーピングを実現する為には、フラーレンがCNT内部へ内包される駆動力の由来を突き止めることが必要不可欠である。特に、ドーピングにおいて昇華フラーレン分子と競合しうる気相分子を排する為には、真空度の設定が極めて重要であった。初年度に設計し導入した、高真空かつ加熱可能な排気装置を用いて、C_<60>フラーレン分子ついてドーピング条件を設定する事により、異なるCNT内部へのC_<60>フラーレン内包状態を実現する事に成功した。高真空条件からは、試料に用いたC_<60>フラーレン量とCNTへの内包量は正の相関を示す一方で、CNT内部ではほぼ常に最密充填構造を取る事が分かった。一方で、低真空条件では、明確な相関はみられずC_<60>フラーレン内包位置は分散している事が多く見られた。これらの事からC_<60>フラーレンドーピングにおいては、競合する気相分子の存在がCNT内部での内包状態に極めて重要な役割を果たしている事が示唆される。一方で、金属内包フラーレンGd@C_<82>においては真空度に対しての内包量や内包位置に大きな依存は見られなかった。このことは、内包位置を制御する上でC_<60>フラーレンを用いたドーピング時の真空度設定が極めて有用である事を示唆している。一方で、電子状態の異なるフラーレンGd@C_<82>においてはCNT内部空間との親和性の一方でCNTに内包されたGd@C_<82>どうしのクーロン相互作用の存在が予想される結果である。これらの結果はCNT内部におけるフラーレン内包位置制御にはフラーレンの電子状態を考慮しなければならない事を示唆しており、今後更なる検証が必要である。
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