2008 Fiscal Year Annual Research Report
天然由来マクロファージ内脂肪滴蓄積阻害剤の標的分子の解析
Project/Area Number |
20810028
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松田 大介 Kitasato University, 薬学部, 助教 (20458764)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 動脈硬化症 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
動脈硬化初期病巣に認められるマクロファージ内脂肪滴蓄を阻害する化合物として、微生物資源、食品や生薬成分などの天然物資源から発見した阻害剤の作用機序の解析を進めた。その結果、アカネ科のRubia cordifolaに含まれる成分であるrubimaillinの標的がコレステロールアシル化酵素acyl-CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT)であることを明らかにした。本植物は、利尿や解熱作用を有する薬草として中国で使用されており、今後、動脈硬化予防作用のある機能性食品としての活用が期待できる。さらに、本化合物はangular型に結合した芳香環を基本骨格とする。過去の我々の報告と相関性よく、2種のACATアイソザイム(ACAT1、ACAT2)のうちACAT2に対してACAT1よりも強い阻害活性を示した。ACAT2に選択的に阻害活性を示す化合物は現在のところpyripyropene A以外はほとんど報告されていないことから、本発見は非常に興味深いものである。 以前に、我々が真菌の培養液中より発見したbeauveriolideについて解析を進めた。本化合物の標的はACAT(小胞体膜に局在)であると予想していたが、細胞を用いた解析(小胞体膜が正常に維持)とミクロソームを酵素源とした解析(小胞体膜の配向性は無制御)では阻害活性と両アイソザイムに対する選択性(細胞での評価はACAT1選択的、ミクロソームでは両アイソザイムを同程度阻害)が異なっていた。そこで、膜の配向性が重要であると仮説をたて、それを維持させたセミインタクト細胞を調製して評価を行った。その結果、細胞を用いた評価と同様にACAT1に選択性を示した。以上の結果から、本化合物の選択的阻害活性には小胞体膜の維持が重要であることが示唆された。今後、さらに詳細な解析を進める予定である。
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Research Products
(20 results)