2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 洋 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 客員研究員 (80456201)
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Keywords | 省庁官僚制 / 人事履歴 / 事務次官 / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
2008年度は、研究計画に沿って以下の活動を行った。第一に、官僚の組織や人事に関する基礎的文献を渉猟し、基本的理解を深め、研究の問題意識を明確化した。 第二に、研究支援員として学生アルバイト6名(東大、上智大)の募集に成功した。これらに対して当研究の意義を理解させ、作業の手法や規則を指導し、研究体制を構築した。 第三に、戦後60年分の『職員録』の資料を図書館などから収集し、これをエクセルシートに入力して人事履歴のデータにする作業を行った。この実務作業は主として上記の学生アルバイトに行ってもらったが、これらを監督し、必要に応じて助言や修正を行った。個人差があるものの、6名で概ね月に60時間程度作業してもらい、内閣官房、総理府、通産省、郵政省、大蔵省について、必要なデータを作成できた。 第四に、上記のデータを活用して特に内閣官僚について分析し、論文を執筆した。具体的には、内閣官房の職員数や組織数についてグラフを作成し、1990年代後半以降に急増したことを確認すると共に、旧大蔵省から内閣官房への出向者である内閣審議室長について人事履歴データを分析し、1980年代と1990年代後半に出向者の質が向上していることを発見した。両点を共著書の中の論文として既にまとめ、出版する予定(2009年8月:勁草書房)である。 第五に、官僚に対するインタビューを実施し、省内の人事や出向についての証言を収集した。特に内閣官僚7名について集中的にインタビューを行い、出向者同士の人間関係、出向者と出身省庁との関係、それらを基にした政策の総合調整の実態などを明らかにした。その成果は、本年6月の日本公共政策学会研究大会(於:龍谷大学)において報告する予定である。
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