2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 洋 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 客員研究員 (80456201)
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Keywords | 省庁官僚制 / 人事履歴 / 事務次官 / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
2009年度は、研究計画に沿って以下の活動を行った。 第一に、昨年度に引き続き、50年分の『職員録』に基づいた人事履歴のデータ化を行った。研究代表者が作業を管理しつつ、学生アルバイトの研究支援員にデータ入力をさせ、外務省、防衛庁、厚生省、文部省などについて、データ化を完了させた。 第二に、官僚に対するインタビューを継続した。官僚の人事や出向についての証言を収集し、官僚人事のメカニズムを探った。 第三に、政権交代という日本政治の歴史的変化を踏まえ、それ以降の官僚人事の変化に注目した。官僚などからの証言を収集することにより、官僚人事への政治家の介入、政官関係の変容などを調査した。 第四に、上記のデータや証言を活用して具体的な研究を進めた。特に各省庁からの出向者から成る内閣官房の組織や人事に注目し、人事履歴データを分析した結果、内閣官房副長官補の機能強化を実証できた。 これらの成果は、2009年6月の日本公共政策学会研究大会(於:龍谷大学)における、「内閣官房の研究:副長官補室による政策の総合調整の実態」と題した報告、更に2009年12月の共著『変貌する日本政治』(御厨貴編集)における、「内閣官房の組織拡充:閣議事務局から政策の総合調整機関へ」として結実した。内閣官房というこれまで研究蓄積がない官僚組織について、官僚人事という観点から分析した例はなく、特に政権交代を踏まえて内閣官房のあり方や政官関係が問われる現在において、その意義は大きいと思われる。
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