2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸国における環境イノベーションと持続的成長に関する理論・実証研究
Project/Area Number |
20830063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸賀 加奈 Kyushu University, 大学院・経済学研究院, 助教 (50509122)
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Keywords | 環境イノベーション / 技術スピルオーバー / 環境政策 / 国際協力 / 持続可能な発展 |
Research Abstract |
本研究では環境イノベーションや技術スピルオーバーの影響および環境政策の有効性を検討する。本年度は発展途上国の経済成長における先進国からの環境技術移転の重要性を示し、先端技術を受け入れるための人的資本やインフラ整備等の技術基盤の必要性を動学的分析で明らかにした。たとえ発展途上国に技術移転が行われたとしても、ある程度の人的資本等がなければ、環境技術が有効に活用されない可能性があることを指摘した。また、どのような環境技術を用いれば、発展途上国において環境保全と持続可能な発展を実現することができるのかを考察した。環境保全と経済成長が両立しうるためには、発展途上国に適用可能な比較的低レベルの環境技術を移転するほうが、政策として実効性があるのではないかという結論が得られた。この研究成果については学会発表を行っており、学術雑誌に投稿を予定している。 他方で、先進国での環境規制によって、高い汚染を伴う生産拠点が発展途上国へ移転し、さらに環境が悪化するという炭素リーケージ問題を考慮した研究を行った。他国に影響を及ぼすスピルオーバー効果や国際貿易を含めたモデルで先進国における排出税政策の有効性について検討し、汚染ストックがどのように経済厚生に影響するのかを明らかにした。排出税政策の導入が炭素リーケージを促す結果となり、相対的に環境技術が劣っている発展途上国へ生産拠点が移転することで地球全体として温室効果ガス排出量が増加し、経済厚生は低下することになる。それらを解消するためには、先進国からの技術移転や関税協定が必要であり、また先進国と発展途上国が協力して排出削減を実施することが重要であることを理論分析において示した。この成果は学会において報告し、学会誌に投稿した。
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Research Products
(2 results)