2008 Fiscal Year Annual Research Report
植民地期における朝鮮民衆の学習・教育活動と地域社会の実相
Project/Area Number |
20830066
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金子 満 Kagoshima University, 教育学部, 講師 (10513161)
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Keywords | 韓国・朝鮮 / 植民地支配 / 民衆教育史 / 朝鮮農民社 / 識字教育 / 地域教育史 / 朝鮮総督府 / 民衆運動 |
Research Abstract |
2008年度では、主に韓国を中心に以下の2点に関する史料収集と分析を行った。まず1点目は、1920年代の植民地期朝鮮において、朝鮮総督府からの厳しい監視と活動の検閲をうけながらもハングル語を使い、朝鮮民衆を対象に識字(ハングル)教育や農業技術促進等を掲載した雑誌「朝鮮民衆」の原本を探すことができた。同史料は国会図書館及び東国大学図書館に所蔵されていた。同史料は、古来のハングル(日本でいう古文にちかい)で書かれていたため、本年度は、同史料の翻訳に大きく時間を使用した。同史料の翻訳によって当時の朝鮮農民に対する識字教育の教科書となった「農民読本」の内容が明らかになるとともに、当時の集落における農民たちの生活課題や問題意識等も明らかとなった。これらの史料はまだ論文としては発表していないものの2009年度には、まとまった形で発表する予定である。 2点目は、当時の朝鮮民衆の集落に関する朝鮮総督府による記述を同図書館で発見した。朝鮮総督府による集落調査から、詳細なデータとともに支配者からみた朝鮮民衆の生活の実情が明らかにされている。特に今回は、平安北道地域における集落の詳しいデータに着目した。朝鮮農民たちが自ら夜学開き、自主的な学習教育活動が活発に展開されたのが平安地域であるため、2009年度では、調査対象を平安地域に限定し、詳細なデータと農民たちの活動の実績から植民地期朝鮮における地域の実相に迫る事にしたい。
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