2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ニッケル薄膜の抵抗スイッチング効果に対するフォーミング過程の役割
Project/Area Number |
20860047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 佑介 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (10512759)
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Keywords | 不揮発性メモリ / 抵抗変化 / 酸化物 / スパッタリング / 結晶性 / 欠陥準位 |
Research Abstract |
急速なユビキタス社会の到来は、いよいよフラッシュメモリの動作特性にさえ限界を突きつけており、低電力・高速・大容量・高書換耐性の新規ユニバーサルメモリが要望されている。酸化物を所定の金属で挟み込んだキャパシタ構造をとる抵抗変化型不揮発性メモリー(ReRAM)は、次世代不揮発性メモリの中でも単純な構造や高いオンオフ比による多値化の実現など、極めて優れたポテンシャルを秘めている。しかし、電圧印加による抵抗スイッチング機構の定量的かつ統一的なモデルが存在せず、この現状がReRAMの実用化への大きな障害となっている。 本研究は、二元系酸化物半導体である酸化ニッケル薄膜を用いたReRAMに関する。電極には下部・上部ともに白金を用い、酸化ニッケル薄膜の堆積は反応性スパッタリング法を用いて行った。本年度に得られた主な成果は以下の通りである。1.Si基板上に作製したReRAM素子の抵抗スイッチング効果を確認した。堆積条件を調整することにより、典型的なオンオフ比は約1000と高くかつ安定なものが得られた。2.断面TEMにより酸化ニッケル薄膜内での多結晶領域とアモルファス領域の存在を観察した。また、アニールによる多結晶領域や粒径の拡大を試み、複数のオフ抵抗の存在を確認した。安定性や再現性は不十分であるが、この結果は結晶性と抵抗スイッチング特性の相関を示唆している。3.酸化ニッケル薄膜を金属欠損によるp型半導体(酸素組成は1.07)、縮退した高ドープn+型シリコン基板を電極としたpn+接合を作製し、その接合容量にアドミッタンス法を適用して酸化ニッケル薄膜の欠陥準位の評価を行った。欠陥準位は価電子帯からの深さ170meVの位置に単一に存在し、その密度がアクセプタ密度と同等もしくはそれ以上と高いことが判明した。この準位を精査することで、酸化ニッケル薄膜中の電導機構延いては抵抗スイッチング機構の解明につながるのではないかと考えられる。
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Research Products
(2 results)