2008 Fiscal Year Annual Research Report
コケ植物による環境調整型建築外部空間の創造に関する研究
Project/Area Number |
20860076
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
円井 基史 Kanazawa Institute of Technology, 基礎教育部, 講師 (80508341)
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Keywords | コケ植物 / 人工被覆面 / 付着・生育 / 空間形態 / 建築外部空間 |
Research Abstract |
本研究では、コケ植物の持つ熱環境調整効果、美観性・芸術性を有する建築材料としての可能性に着目し、コケを利用した環境調整型の建築外部空間の創造に取り組んでいる。助成を受ける研究期間内(2年間)においては、コケ緑化建築部材の開発、および、コケを利用した建築外部空間の設計に向けた知見を得るために、人工被覆面に付着・生育するコケ植物の特徴的形態、さらに表面温度、蒸発量、含水率といった熱・水収支の把握を行うことを目的としている。 当該年度(平成20年度)においては、金沢工業大学(石川県石川郡野々市町および金沢市)構内の人工被覆面に付着・生育するコケ植物について調査した。具体的には、1)踏査による分布把握、2)目視観察、サンプリングによるコケ種同定、3)生育箇所周辺の空間形態の図化、4)空間形態の分類・抽出を行った。結果として、コケの付着・生育形態を20パターンに分け、さらに、その場所でコケが生育する理由(要因)を考察し、代表的な形態10種を抽出した。根元・角型、目地・窪み型、凹部地被型、湿潤壁面型の4つは、以前の調査(千葉県習志野市)で報告したものと同様であるが、今回、花壇・土留め型、土壌連続型、ピロティ型、高所型、波形スレート堆積・被覆型を新たに抽出した。これらにより、コケ植物が人工被覆面で生育する条件(日陰、高湿度、土・塵の堆積等)、およびそれを可能とする空間形態の特徴がある程度位置付けられたといえる。 また、コケ植物のクールスポット形成ポテンシャルの把握に向けて、蒸発量や表面温度といった熱・水収支を測定するためのコケ緑化材モックアップ(試験体)を作製した。平成21年度に本格的な実測を行う。
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