2009 Fiscal Year Annual Research Report
冷温帯広葉樹林における食肉目の液果の種子散布特性解明に関する研究
Project/Area Number |
20880012
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小池 伸介 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (40514865)
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Keywords | 種子散布 / ツキノワグマ / 食肉目 / 生物間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、日本における冷温帯広葉樹林での食肉目各種の液果の種子散布特性を解明・比較するため、各種の質的な種子散布効率として「種子の散布範囲」と「散布された種子の生存率」の2つの課題の解明に焦点を当て調査を行った。本調査では、ツキノワグマ、テン,タヌキを対象とし、本年度は前年度のツキノワグマに加え、他2種を主な対象とした 調査1:各種の種子の体内滞留時間の測定と体内通過種子の発芽試験 傷病鳥獣として飼育されているテン、タヌキを用いて、種子の体内通過実験を行い、通過種子の発芽試験を行った。その結果、3時間から30時間の体内滞留時間を測定し、体内通過後も種子の発芽能力は著しく減少はしなかった。 調査2:各種の種子散布範囲推定とそのための行動特性(移動距離)の算出・体系的整理 ツキノワグマの種子散布距離を推定したところ、最大で22kmを超えることが推定された。また。雌雄、季節により散布距離は異なり、秋のオスによる種子散布距離が大きかった。また、年次間でも異なり、その要因としては、秋では主な食物である堅果類の豊凶が影響している可能性が考えられた。テン、タヌキについては既存の資料をもとに種子散布距離の推定を試みた。 調査3:各種の糞に含まれた種子の行方と糞虫の2次散布者としての可能性 ツキノワグマの散布後の種子の行方を調べたところ、げっ歯類による持ち去り、捕食が多数確認されたが、一部の種子では貯食行動による2次散布が確認され、発芽する種子もみられた。また、糞虫による2次散布も認められ、温帯林でもその有効性が確認された。テン、タヌキでもげっ歯類による持ち去りは確認されたが、2次散布の効果はツキノワグマに比べて低いことが想定された。
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Research Products
(5 results)