2009 Fiscal Year Annual Research Report
時計出力分子Prokineticin 2による中枢性血圧調節機構の解明
Project/Area Number |
20890198
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
向阪 彰 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (00458051)
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Keywords | Prokineticn 2 / 延髄孤束核 / 血圧日内リズム / 高血圧 / 分子時計 / 中枢性循環調節 / 生体リズム |
Research Abstract |
Prokineticin 2 (PK2)は、分子時計が発振するリズムを様々な生理学的リズムに伝達すると考えられている。本研究では、PK2が血圧日内リズムの形成に関わっているのかどうかを延髄レベルで調べることを目的とした。昨年度は、ラットの延髄孤束核(NTS)におけるPK2の発現に日内リズムがあり(実験1)、PK2のラットNTSへの投与より血圧および心拍数が低下すること(実験2)、そして、PK2の降圧効果は投与する時刻に依存的であることを突き止めた(実験3)。本年度は上記の実験1~3の結果を踏まえて、PK2による血圧日内リズム調節が、本態性高血圧のモデル動物(自然発症性高血圧ラット:SHR)において異常を来しているかどうかを検討した(実験4)。 実験1~3 は昨年度終了 実験4. SHRにおけるPK2の循環調節作用の異常を検討 雄のSHRの血圧日内リズムをテレメトリーシステムで無麻酔非拘束下にて測定したところ、対照群のWistar-Kyotorat (WKY)でみられだ明期の血圧低下がSHRでは不十分であり、すなわちSHRでは血圧日内リズムに異常が認められた。4時間ごとにWKYおよびSHRのNTSを解剖採取し、PK2のmRNAレベルの発現を解析したところ、WKYで明期にみられたPK2発現のピークが、SHRでは暗期にシフトしていた。最後に、麻酔下でWKYおよびSHRのNTSにPK2を微量注入したところ、WKYでは暗期にくらべて明期に降圧効果が高かったが、SHRではそのような時間依存的効果が消失していた。 以上の研究成果は、PK2が中枢レベルで血圧日内リズムの制御に深く関わっていることを示唆していた。とくに、血圧日内リズムの破綻した高血圧モデルラットにおいて、その破綻には延髄レベルのPK2による循環調節異常の関与が考えられた。
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