2008 Fiscal Year Annual Research Report
足場非存在下に癌細胞死を誘導する新規ステロールの作用機構
Project/Area Number |
20890207
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田中 亜路 Iwate Medical University, 薬学部, 助手 (60509040)
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Keywords | 癌 / anoikis / p38MAPK / 酸化ステロール / OSBP |
Research Abstract |
真菌由来のテルペノイドであるアニセコールのもつ大腸癌細胞DLD-1に対するanoikis誘導活性について、その分子メカニズムの解明を目指し、以下の通りの研究を遂行した。 1)細胞死シグナルに関与する因子の同定 アニセコールによるanoikis誘導が細胞内シグナル伝達機構のどの経路をとっているかを検討した。その結果、アニセコールや25-ヒドロキシコレステロール処理細胞において、p38MAPKの活性化がおきていることを、特異的リン酸化抗体を用いてあきらかにした。さらに、p38MAPKの下流因子であるATF-2およびHSP27についても同様の活性化が起きていることをあきらかにした。ついで、p38MAPKに対する特異的阻害剤ML3403を用いた実験により、アニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールによるanoikis誘導活性がやや抑制されることを見出した。これはp38MAPK経路がなんらかのかたちでアニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールのもつ癌細胞に対するanoikls誘導活性に関与することを示唆するものである。 2)アニセコール誘導性anoikisに関わるOSBP/ORPsファミリータンパク質の同定 アニセコールの標的タンパク質と目されるOSBP/ORPsファミリータンパク質のうち、最も機能解析がなされているOSBPを標的とし実験をおこなった。まず大腸癌細胞DLD-1に内在的に発現していることを特異的な抗体を用いたウエスタンブロッティング法により確認した。次に、OSBPに対するRNAi法をおこない、発現量を低下させた状態でアニセコールや25-ヒドロキシステロールのanoikis誘導活性に与える影響をMTTアッセイによる細胞のviabilityを測定することで検討した。その結果、OSBPはアニセコールや25-ヒドロキシステロールのanoikis誘導活性に影響を与えることをあきらかにした。
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