2009 Fiscal Year Annual Research Report
足場非存在下に癌細胞死を誘導する新規ステロールの作用機構
Project/Area Number |
20890207
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田中 亜路 Iwate Medical University, 薬学部, 助教 (60509040)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 薬学 / p38MAPK / Rho |
Research Abstract |
真菌由来のテルペノイドであるアニセコールのもっ大腸癌細胞DLD-1及びHT-29に対するanoikis誘導活性について、その分子メカニズムの解明を目指し、以下の通りの研究を遂行した。 前年度の研究により、アニセコールおよび25-ヒドロキシコレステロールによるanoikis誘導が細胞内シグナル伝達機構のうちp38MAPKの活性化によりおきていることをあきらかにしていたが、今年度はp38MAPKファミリーのうちメインファクターであるp38MAPKalphaについての研究を遂行した。浮遊培養状態でのRNAiノックダウン法を確立し、p38MAPKalphaの発現量を特異的に減少させたところ、アニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールによるanoikis誘導活性が30%前後抑制されることを見出した。これはp38MAPK経路がなんらかのかたちでアニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールのもつ癌細胞に対するanoikis誘導活性に関与することを示すものである。 さらに試薬Y27632がアニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールによるanoikis誘導活性を50%以上減少させることを見出した。Y27632はRho-Kinase阻害剤であり、低分子Gタンパク質Rho→Rho-Kinase→Myosin Light Chain 2の経路を阻害する薬剤として知られている。P38MAPK経路との関係を調べるため、Y27632存在下でのアニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールによるp38MAPK誘導活性を検討したところ、p38MAPKの活性化/リン酸化はY27632により抑制されることが判明した。これはp38MAPK経路とRho経路のクロストークがアニセコール及び25-ヒドロキシコレステロールのもつ癌細胞に対するanoikis誘導活性に関与することを示唆するものである。
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