2008 Fiscal Year Annual Research Report
好塩基球の分化・活性化におけるSLP-76シグナル分子の役割に関する研究
Project/Area Number |
20890232
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飛彈野 真也 Tokyo University of Science, 生命科学研究所, 助教 (80516386)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / シグナル伝達 |
Research Abstract |
アレルギー反応は、即時型、遅発型、超遅発型とアレルギー反応初期から慢性化に至る過程で、関与する細胞や炎症を引き起こす化学物質の種類、性質が変化していく。これら一連の炎症反応は、肥満細胞ならびに好塩基球が重要な役割を果たしていることが明らかになっているが、これら細胞の機能的な共通性、特異性については不明な点が多い。本研究では、アレルギー反応に関与する肥満細胞ならびに好塩基球に発現するシグナルアダプター分子SLP-76に着目し、高親和性IgE受容体ならびにサイトカイン受容体を介した好塩基球の活性化シグナル伝達機構ついて解析するとともに、肥満細胞、好塩基球のアレルギー炎症における役割を比較解析を行った。本研究により我々は、SLP-76欠損脾臓ならびに骨髄誘導性好塩基球では、IL-3受容体ならびに高親和性IgE受容体刺激によるIL-4産生が認められないことから、SLP-76は好塩基球における1L-4産生の誘導に必須な分子であることを見いだした。さらに、これら受容体下流シグナル経路の差異を調べたところ、SLP-76欠損好塩基球で、IL-3刺激によるAKTのチロシンリン酸化が認められない一方、高親和性IgE受容体刺激ではAKTのチロシンリン酸化は正常であるが、PLCγのリン酸化が認められないことを明らかにした。結果、これら受容体によるIL-4産生は、それぞれ異なったシグナル伝達経路を介して誘導されていること、つまりSLP-76は異なる受容体下流シグナル伝達経路をそれぞれ別の機序で制御していることが示唆された。これらの本研究による成果は、アレルギー炎症における好塩基球の活性化機構解明に重要な役割を担うこと、ならびに肥満細胞と好塩基球との機能的な共通性、特異性の解明に強く貢献できると考えられる。
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