2009 Fiscal Year Annual Research Report
好塩基球の分化・活性化におけるSLP-76シグナル分子の役割に関する研究
Project/Area Number |
20890232
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飛彈野 真也 Tokyo University of Science, 生命科学研究所, 助教 (80516386)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年、アレルギー反応において好塩基球の必要性が問われている。これまでに肥満細胞における研究は多く行われていたものの、好塩基球は、非常に少ない細胞集団であることならびに肥満細胞と同様の細胞であると考えられていたため、好塩基球の活性化機構の解明はほとんど行われていなかった。本研究では、アレルギー反応に関与する肥満細胞ならびに好塩基球に発現するシグナルアダプター分子SLP-76に着目し、アレルギー炎症における高親和性IgE受容体ならびにサイトカイン受容体を介した好塩基球の活性化シグナル伝達機構ついて解析を行った。本研究により、我々はSLP-76欠損脾臓ならびに骨髄誘導性好塩基球では、IL-3受容体ならびに高親和性IgE受容体刺激によるIL-4産生が認められないことから、SLP-76は好塩基球におけるIL-4産生の誘導に必須な分子であることを見いだした。これら受容体下流シグナル経路の差異を調べたところ、SLP-75欠損好塩基球で、IL-3刺激によるAKTならびにPLCγ2のチロシンリン酸化が認められない一方、高親和性IgE受容体刺激ではAKTのチロシンリン酸化は正常であるが、PLCγ2ならびにJNKのリン酸化が認められないことを明らかにした。これら受容体によるIL-4産生は、それぞれ異なったシグナル伝達経路を介して誘導されていること、すなわちSLP-76は異なる受容体下流シグナル伝達経路をそれぞれ別の機序で制御していることが示唆された。これらの本研究による成果は、アレルギー炎症における好塩基球の活性化機構解明に重要な役割を担うこと、ならびに肥満細胞と好塩基球との機能的な共通性、特異性の解明に強く貢献できると考えられる。
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