2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the function of Incipient and Initial Jomon pottery.
Project/Area Number |
20H00024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 専任教授 (10221730)
栗島 義明 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 特任教授 (60445864)
宮田 佳樹 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70413896)
渋谷 綾子 東京大学, 史料編纂所, 特任助教 (80593657)
佐々木 由香 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究センター, 特任准教授 (70642057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土器の起源 / 縄文人 / 更新世・完新世移行期 / 人新世 / 狩猟採集民 |
Outline of Annual Research Achievements |
土器に残存する情報の総合的解析のために、福井県鳥浜貝塚から得られた土器付着物における窒素同位体比、バイオマーカ同定と脂質の炭素同位体比について、個別試料との対比から、実証的なデータを用いた土器による植物質の加熱についての検出方法をほぼ確立できた。この指標をもとに、縄文時代草創期から前期における植物質利用についての調査を進めた。 土器による植物質加工の検出方法の評価として、植物に特化した利用が想定されている水場遺構周辺から出土した土器について、埼玉県赤山陣屋跡遺跡から出土した試料を採取して、同位体分析を実施した。その結果をうけ、残存脂質分析や残存デンプン流分析などとの比較を予定している。 人骨エナメル質における酸素・炭素同位体比については、条件の最適化を検討した結果、5㎎程度の微量試料での測定が可能となった。コラーゲン同位体比と組み合わせて、植物質の定量的評価を実施するために、群馬県居家以岩陰遺跡出土人骨での予備的調査を開始した。脂質分析の定常的な測定環境についての整備もすすみ、30㎎程度の土器付着炭化鬱からバイオマーカー同定を含む一連の分析が可能となった。 縄文時代早期の人骨と土器付着物の同位体比を直接的に比較するために、神奈川県夏島貝塚と栃木県大谷寺洞窟から出土した人骨と土器付着物の試料採取を実施して、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分析手法については手法確立の段階を含んでいたエナメル質の炭素・酸素同位体分析と土器付着物における脂質分析の手法をほぼ確立できた。手法の比較対象とした鳥浜貝塚では実際のデータを同一資料で実施して、比較することに成功した。さらに植物質の利用が考古学的に推定される遺跡での比較検討によって、複合的手法の有効性を確認することがができると期待される。古人骨と土器付着物の結果は期待されたような多様性を示しており、早期における調理具としての土器機能について実証的データを得ることができた。草創期と早期についても土器付着炭化物のデータを多数得ることができたので、考古学的な議論を前倒しで進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に予定した論文化を前倒しして開始する予定である。草創期・早期・前期までを研究対象としているが、比較ための中期から晩期の縄文時代後半についても、遺跡の性質を吟味して予備的な分析をすることで、土器利用の全体像を検討することを予定している。
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