2022 Fiscal Year Annual Research Report
東ユーラシア東辺における古代食の多角的視点による解明とその栄養価からみた疾病
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20H00033
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
三舟 隆之 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (20418586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西念 幸江 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (90410208)
五百蔵 良 東京医療保健大学, 医療保健学部, 名誉教授 (70299907) [Withdrawn]
齋藤 さな恵 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (00389040)
大道 公秀 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (50632444)
鈴木 礼子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (20616239)
峰村 貴央 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (30769451)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (70332195)
山崎 健 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50510814)
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (50566940)
小田 裕樹 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70416410)
森川 実 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (30393375)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20581101)
金田 一秀 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (30342067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 古代の食の再現 / 木簡 / 延喜式 / 残存脂質分析 / 動物骨 / 堅魚 / 古代酒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、まず古代の食事を再現するのが第1の目的である。第2の目的として、再現された古代食の栄養価分析を行い、古代における食と生活習慣病の関係の解明を試みる。そのためにカンボジアや中国・韓国などの東ユーラシア東辺地域の食文化も比較検討することが目的であった。しかし現在のコロナウィルス感染症の拡大によって海外調査を含め、十分な調査・研究を行うことができなかった。そのため海外調査を諦め、古代日本の食文化の調査研究にシフトした。その中で本年度の研究業績は、以下の通りである。 ①古代の炊飯法を平城宮跡出土のカラカマドや甕の分布から、強飯の再加熱を再現実験して検証した。 ②古代の発酵食品の再現実験を行った。とくに平城京跡出土木簡にみえる古代の酒の再現実験を行った。特に再現性を追求して醸造に使用する須恵器の甕のモデル土器の製作を岡山県寒風陶芸会館の協力の下に行い、それを使用した。そして木簡にみえる米・麹・水の比率から、奈良県御所市油長酒造株式会社の協力の下、古代の酒の再現実験に成功した。その他酢の醸造に使用された甕の内面に付着している白色物質の化学分析を行った。また製塩土器やアユの発酵食品などの調査も行った。 ③静岡県沼津市・富士市の遺跡から多く出土する堝形土器についての調査・科学分析を行った。それによって古代の堅魚製品の再現実験を行うこととなった。 ④奈良県奈良市の西大寺食堂院跡から発掘調査によって明らかになった遺構・遺物から、古代の寺院での食生活に関するシンポジウムを行った。この研究で古代史・考古学のみならず、調理科学や食品学・栄養学などの多様な研究分野の研究者が参加することによって、古代の食の解明に関する学際的な研究方法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大によって海外調査を行う見通しが立たず、また緊急事態宣言以降の大学構内の入構制限などがあり、十分な実験などが行えなかった。その一方新たなテーマを発見することができて今後の研究の進展に見通しが立ち、その準備に時間が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず研究計画を日本古代の食の再現を中心として、和食の源流を探る研究を行う。研究計画としては、 ①日本食に欠かせない酒などの発酵食品などの調査を行い、再現実験を継続したい。特に昨年度の古代酒の再現実験では、古代史料上では赤米を使用していたことが明らかであるが、醸造実験の結果からはその優位性が見出されなかった。これについては次年度も継続して、調査・実験を行いたい。 ②新たに和食の原点である出汁としてカツオがあるが、古代の堅魚製品は木簡や『延喜式』などによく出てくるが、その加工・保存法、調理法などはほとんどわかっていない。今年度沼津市や富士市の遺跡から多く出土する堝形土器の残存脂質分析を行うことができたが、その他についても総合的な調査や再現実験を行う必要性が生じた。これについては地元の鰹節製造業者の協力が得られたので、総合的な再現研究を行っていきたい。
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