2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the processes of disparity expansion and their social consequences in Japanese three metropolitan areas
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20H00086
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橋本 健二 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40192695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 直人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00314831)
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10313355)
片瀬 一男 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30161061)
武田 尚子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30339527)
浅川 達人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40270665)
石田 光規 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60453495)
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
丹辺 宣彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90212125)
津田 好美 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90336058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市分極化 / 社会-地区分析 / 階級 / アンダークラス / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、地域メッシュ統計と国勢調査の小地域統計をすすめるとともに、2020年に実施した予備調査データの分析を行ない、基本的な傾向を確認するとともに、本調査を設計し、実施した。その概要は、以下のとおりである。 (1)地域メッシュ統計と小地域統計により、東京圏、名古屋圏、京阪神圏の3大都市圏の空間構造の比較分析を行なった。その結果、東京圏、名古屋圏、京阪神圏ともに同心円型構造とセクター型構造の併存がみられるが、同心円構造がもっとも顕著なのは東京圏、次いで京阪神圏であり、名古屋圏ではセクター型構造が顕著であることが明らかとなった。分析結果は日本都市社会学会で発表したほか、複数の著書や論文で公表されている。 (2)2020年度に実施した予備調査データの分析からは、3大都市圏の格差構造について多くの知見が得られた。また調査の実施が2021年1月だったことから、新型コロナ感染症の蔓延による変化が鮮明にとらえられ、もっとも深刻な影響を受けたのは旧中間階級、次いでアンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)だったことが明らかとなった。これについてはいくつかの論文で公表した。 (3)予備調査データの分析から、住居表示が実施されていない京都府と岐阜市について、質問紙の設計変更が必要であることが判明した。このため、この2地域を対象とする第2回予備調査を設計し、実施した。 (4)予備調査データの分析から、階級・階層所属の測定、新型コロナ以前と以後の比較、地域社会に対するニーズとその充足状況などについて設問の改良を行ない、2022年1月から2月にかけて本調査を実施した。有効回収数は、東京圏26001、名古屋圏6218、京阪神圏11601、合計43820だった。完成したデータは、回答者の居住地の社会経済的特性に関する変数を付加した上で、分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メッシュ統計と小地域統計を用いた社会-地区分析は予定通りに進行しており、成果もすでにいくつか公表している。またインターネット調査は予定通り実施され、データ作成も順調に進んでいる。予備調査から得られたデータが予想以上に良質のものだったため、ここからもいくつかの重要な知見が得られ、結果を公表できた点では、当初の計画以上に進展しているといえるが、名古屋圏と京阪神圏での現地調査は新型コロナ禍のため進んでいない。総合的に判断すれば、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査データの分析を中心に、研究を推進していく。当面は、階級・階層構造と社会経済的格差の構造の基礎的分析と3大都市圏の比較分析、貧困層の実態と空間的分布に関する3大都市圏の比較分析、本人の階級・階層所属と居住地の社会経済的特性の両者を考慮した生活満足度・健康状態の規定要因の分析を中心に、研究を進める。本調査の結果は、10月に予定されている日本社会学会大会で公表したあと、各自が論文・著書等で公表していく予定である。またひととおり分析が終わった段階で、出身階層と地域間移動に関するアフターコーディングと変数加工を行ない、都市空間構造と社会移動のダイナミックな分析に取りかかる予定である。
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Research Products
(41 results)