2022 Fiscal Year Annual Research Report
Search for Supernova Relic Neutrinos using a large water Cherenkov detector
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20H00162
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小汐 由介 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (80292960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 康博 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80792704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超新星背景ニュートリノ / スーパーカミオカンデ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宇宙が始まって以来、超新星爆発によって放出された超新星背景ニュートリノ(SRN)を、スーパーカミオカンデ(SK)で、世界で始めて発見することが目的である。 昨年度までに2020年夏に始まったSK-Gd実験で期待通りの検出器性能を発揮していることを確認したことをうけ、硫酸ガドリニウム26トンの追加導入に成功したことが2022年度の大きな成果の一つである。初期導入の2倍のスピードで導入され、約1ヶ月で完了した。放射線源(AmBe)を用いた検出器較正により、中性子の検出効率を高精度で導出し、予測値と良く一致していることを確認した。その後も検出器は安定して稼働している。 本研究ではSK-Gdのデータ解析に加え、加速器を用いた素粒子・原子核反応の精密測定で、SRN発見に最も重要な大気ニュートリノによる背景事象の理解を進める。大気ニュートリノ反応の中でも、ニュートリノと水中の酸素原子核との中性カレント準弾性散乱(NCQE)と呼ばれる反応がSRNによる反応と全く区別がつかないため、この反応を精密に理解することが鍵となる。そこでNCQE反応を、素性のよくわかったニュートリノビームを同じSK検出器で捉えるT2K実験で測定する。ここでT2K実験におけるNCQE反応の精度を上げるために、ニュートリノビームフラックスの不定性を削減する NA61/SHINE実験と、酸素原子核と核子とのビーム実験を行う。前者では、今年度の夏にCERNにて、T2K実験と同じエネルギーの陽子を同じ標的に照射することで発生するK中間子のデータ取得を行い、前回の実験の約15倍のデータ取得に成功した。後者では、理化学研究所のRIBFを用いた全く新たな実験を実施すべく、関係する研究者と議論を行なっている。また過去に行った大阪大学核物理研究センター(RCNP)での中性子ビームを用いた酸素原子核反応のデータ解析も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた硫酸ガドリニウムの追加導入に成功した。特に中性子の検出効率の評価については、代表者と分担者、指導する学生がチームとして協力し、中性子線源を用いた検出器較正を行い、期待通りの性能を発揮していることを確認した。それにより本研究におけるSRNの探索感度達成に目処が立ったと言える。さらに追加導入前のフェーズ約2年分のデータを用いたSRN探索も行っており、SK-Gd での初めての探索結果を 2023 年度中には論文で報告できる予定である。 T2K実験では、分担者が主導し、約1ヶ月程度のデータでも期待される中性子信号が捉えられていることを確認した。 NA61/SHINE 実験については、我々のグループが提案した陽子とT2K標的(炭素)とのハドロン反応により発生するK粒子測定実験を6月から5週間かけて行った。直ちに初期データ解析を行い、期待されているデータが実際に取得できていることを確認した。この実験により、T2K実験のニュートリノフラックス不定性の削減が期待できる。 核子と酸素原子核との反応の測定実験については、理化学研究所のRIBFのグループと、酸素ビームを水素標的に照射する実験の実現性についての議論を進めている。課題の洗い出しや実験の実現性、期待できる物理の評価などの議論が進み、来年度中には実験を提案する予定である。 以上の成果は研究計画に記載したスケジュール通りに進んでいることから、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
SK-Gd 実験については、引き続き、硫酸ガドリニウム追加導入前のフェーズ約2年分のデータを用いたSRN探索を進めるとともに、2022年度に追加導入以後の検出器較正データを用いたシミュレーションプログラムのチューニングを完成させる。また、取得したデータのクォリティをチェックし、検出器の安定性を評価し、中性子捕獲手法を確立した上で、SRN探索を始める。 T2K実験については第一期データの詳細な解析を行うとともに、次のニュートリノビームに向けた準備、特にシミュレーションプログラムと解析ツールの開発を進める。また、過去のデータの再解析により、NCQE解析手法を確立する。 NA61/SHINE実験では、2022年度に行った陽子とT2Kレプリカ標的(炭素)とのハドロン反応により発生するK粒子測定実験のデータ解析を進める。 原子核実験については、RIBFでの実験手法を確定し、実験遂行に必要な準備を進める。また、過去のRCNPにおける実験データの解析により、原子核反応モデルの精密化を進める。
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Research Products
(41 results)