2023 Fiscal Year Annual Research Report
Ice front processes and evolution mechanisms of calving glaciers -comparison between lake- and ocean terminating glaciers-
Project/Area Number |
20H00186
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 慎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20421951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
古屋 正人 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60313045)
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80281583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カービング氷河 / パタゴニア / 湖 / 海洋 / 氷河末端消耗 / 南極 / 溢流氷 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はグリーンランド、パタゴニア、南極にて野外観測を実施した。またこれまでに取得したデータ(マルチビームソナー、GPS、湖底・海底地形など)と人工衛星データの解析を推進した。これらの成果を国内外の学会で発表し、一部を論文として出版した。 (1) 野外観測:2024年1月にチリ・パタゴニア西部にて、海洋性カービング氷河(アマリア氷河)とその前縁フィヨルドでの測を行った。氷河が流入するフィヨルドで海水を採取し海水物理特性を測定した他、海底地形を測量した。またドローンと自動カメラによる氷河観測を実施した。2023年7~8月にはグリーンランド北西部において前年に設置した係留系を揚収し、海水物理特性、音響、プランクトンプロファイラ等の通年データ取得に成功した。また氷河の質量収支と流出に関するデータを得た。さらに2024年1~2月には南極ラングホブデ氷河にて観測を行い、2022年に設置した装置からデータを回収した。 (2) データ解析:グレイ氷河にて取得したマルチビームソナーデータを解析し、カービングイベントの定量化、測定精度の評価、融解量の推定などを行った。また詳細な湖底地形を得た。さらにLiDARと写真データの解析によって、氷河末端形状を精密にマッピングした。また人工衛星データの解析により東南極リュッツォ・ホルム湾沿岸のカービング氷河についてその変動を定量化し、海氷変動が氷河の流動と変動に与える影響を明らかにした。 (3) 論文出版・学会発表:東南極リュッツォ・ホルム湾沿岸におけるカービング氷河の変動に関して、国際誌に論文を出版した。またグレイ氷河末端で実施したマルチビームソナーの測定結果を国際学会(AGU)にて発表した。さらにパタゴニア地域における氷河データセットのとりまとめに協力して、コミュニティ論文の出版に貢献した。その他、国内外の学会や研究会で成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年に引き続き各地で野外観測が実施された。パタゴニアでは本プロジェクトで初となる海洋性カービング氷河の観測が実現し、研究目標である淡水性カービング氷河との比較が期待できる。その他、グリーンランドと南極での観測、データ収集も行い、パタゴニア・グリーンランド・南極に枠を広げて、淡水性および海洋性カービング氷河の解析が進んでいる。このような状況と、以下に記す詳細から総合的に判断して「概ね順調に進展している」と判断する。 (1) 野外観測:本プロジェクトで初となるパタゴニアの海洋性カービング氷河(アマリア氷河)での観測を実施した。チリの共同研究者との連携によって、観測船をチャーターしてアクセスの難しいフィヨルドの先にある氷河に達し、海洋観測・サンプリング・海底地形測量・氷河の初期的観測を行った。当初計画しながらもCOVID-19の影響で遅れていた、海洋性カービング氷河での観測が実現したものである。 (2)データ解析:マルチビームソナーデータの解析によって、パタゴニアの淡水性カービング氷河(グレイ氷河)における水中カービングイベントの定量化に成功した。淡水性カービング氷河末端における同種の観測は世界初となる成果であり、当初計画を上回る成果である。また人工衛星データの解析によって、東南極における過去30年間の氷河変動を明らかにした。このような人工衛星データを活用した成果は、当初の計画通りといえる。またグリーンランドのフィヨルドで係留系を回収し、カービング氷河の変動と海洋に与える影響に関してデータが得られた。このような海洋観測も想定通りの進捗である。 (3) その他の研究活動: 当初の計画通り、LiDAR、掘削孔カメラ、ドローン、音響センサ、インフラサウンドセンサなど、新しい観測手法の開発・検討が進んだ。 (4) 論文出版・学会発表:国内外での学会発表、国際誌での論文出版が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が収束して、2年間にわたって海外野外観測が実施された。最終年度もパタゴニアとグリーンランドにて観測を実施して、当初計画した淡水性および海洋性カービング氷河でのデータ収集を行う。南極での研究成果も合わせて、淡水性および海洋性カービング氷河の比較、パタゴニア・グリーンランド・南極の比較解析によって成果を目指す。 (1) 野外観測:2024年度は、パタゴニア西部の海洋性氷河(Pio XI氷河)において野外観測を実施する。チリの共同研究者との協力で、観測船をチャーターして現地にアプローチする。またグリーンランドにおいて係留系の回収を行う。 (2) 人工衛星データ解析:本プロジェクトで報告・出版した、パタゴニアにおける巨大な氷河湖排水イベントについて、排水がカービング氷河の変動に与える影響とそのメカニズムを解明する。 (3) 観測データの解析:グレイ湖で取得したマルチビームソナーのデータを解析し、氷河の水中融解とカービングを定量化する。また詳細な湖底地形データから、過去の氷河変動と海底地形の相互作用を解析する。グリーンランドにおいては、過去に取得したデータから、海洋性カービング氷河の短周期流動変化を解明する。また南極ラングホブデ氷河において得られた掘削孔測定データから、氷河底面の水理環境と氷河流動の関係を明らかにする。 (4) 論文出版・学会発表:①パタゴニアの氷河湖排水に伴う氷河変動、②グリーンランドにおける海洋性カービング氷河の短期流動変化、③南極の氷河流動メカニズムに関する論文出版を行う。また、国内外の学会で発表を行い、特にパタゴニアに関する国際的研究コミュニティとの情報交換、国際共同研究を進める。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] The foundations of the Patagonian icefields2024
Author(s)
Fuerst, J. J., D. Farias-Barahona, N. Blindow, G. Casassa, G. Gacitua, M. Koppes, E. Lodolo, R. Millan, M. Minowa, J. Mouginot, M. Petlicki, E. Rignot, A. Rivera, P. Skvarca, M. Stuefer, S. Sugiyama, J. Uribe, R. Zamora, M. H. Braun, F. Gillet-Chaulet, P. Malz, W. J.-H. Meier and M. Schaefer
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Journal Title
Communications Earth & Environment
Volume: 5
Pages: 142
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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