2020 Fiscal Year Annual Research Report
サブナノ分解能応力下その場観察法の開拓による新たな照射硬化機構の解明
Project/Area Number |
20H00359
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10302209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健太 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10581118)
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50510129)
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50344718)
嶋田 雄介 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20756572)
清水 康雄 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, NIMS特別研究員 (40581963)
鈴土 知明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60414538)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 応用下その場観察 / ウィークビーム走査型透過電子顕微鏡法 / 原子力材料 / 照射欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が最近独自開発してきたウィークビーム走査型透過電子顕微鏡(WB-STEM)法の特徴を最大限活かし、応力印加・等温・二軸傾斜試料ホルダーのサブnm分解能その場観察を実現することで、原子炉の安全に直結する構造材料の未だ理解されていない照射劣化機構を解明することを目的とする。具体的には、転位の移動前後に動き変化する照射欠陥集合体が形成される過程を動的に計測し、古典的なモデルを仮定した従来の推定では説明がつかない、新たな照射硬化機構を解明する。
2020年度は、本研究課題の手法開発に位置づけられる応力印加・等温・二軸傾斜デバイスについて設計を進め、カートリッジ型の試料台座を用いて、それぞれのそのWB-STEM場観察ができるようになった。FeCr系モデル合金およびイオン照射材について、WB-STEM法およびその場等温焼鈍観察を適用し、微小な照射欠陥組織が相分離やヘリウムバブル形成に及ぼす影響を調査し、専門誌に報告した。PWR炉監視試験片の一部の中性子照射材については、転位ループと転位との相互作用によって硬化する微小障害物デコレーション硬化機構を発見し、モデルシミュレーション結果とともに学術誌に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暴風災害によって利用施設が停止する等の実験計画上の遅延要因が発生したが、オンライン上でできるモデルシミュレーションや非放射化試料での実験を積極的にすすめ、本年度は6件の原著論文が発表できた。 2021年1月に放射性同位体を取り扱える施設が再開してからの集中的な実験遂行で計画通りに、低合金鋼中性子照射材(PWR炉監視試験片)のその場WB-STEM分析を行い、次年度の実用鋼の照射損傷機構の議論につながる初期データを獲得することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
サブnm分解能をもつ応力下その場観察法については、ビッカース試験機による応力印加およびその熱緩和を中性子照射材に応用する。そして、従来、TEM内引っ張り試験の高分解能化を実現しする。これを十分に照射損傷組織への理解が深まっている低合金鋼に適用し、従来法では解決困難だった応力下の変形に伴う諸問題を解決して、実用材料で世界最高分解能を達成する。サブnmスケールの分解能をもつことによって、原子炉材料の照射劣化で特徴的な、極めて微小な照射欠陥と転位との相互作用の動的可視化が可能になり、従来行われている古典的なモデルを仮定した推定では説明がつかない、新たな照射硬化機構を解明する。 例えば、微小な照射欠陥が転位に絡み合い、転位が複雑に構造変化することによって移動が抑制される「微小障害物デコレーション硬化機構」などを提唱する。
本年度確立した「その場等温焼鈍」は、革新炉候補材料であるF82H鋼およびLAF 9Cr-W鋼、ODS鋼、そして、核融合材料ではW(-Re)合金の中性子照射材等にも適用する。これらの応用研究は、積極的に外部機関の研究者と連携し、国際共同研究として実施する。それにより広く原子力・核融合材料研究の発展に寄与することを目指す。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Thermal stability of dislocation loops in Neutron-irradiated reactor pressure vessel steel during in-situ annealing2020
Author(s)
Yufeng Du, Kenta Yoshida, Yusuke Shimada, Takeshi Toyama, Koji Inoue, Kazuto Arakawa, Tomoaki Suzudo, Milan Konstantinovic J., Gerard Robert, Somei Ohnuki, Yasuyoshi Nagai
Organizer
日本金属学会2020年秋期講演大会
-
-
-
-
-
-
-