2021 Fiscal Year Annual Research Report
Strong-field ultra-high resolution Fourier transform spectroscopy of molecules and molecular complexes
Project/Area Number |
20H00371
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 薫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40182597)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 強レーザー超高分解能フーリエ変換分光法 / 高強度長短パルスレーザー光 / ポンプ・プローブ計測 / 原子、分子、分子錯体 / スピン軌道分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自に開発を進めてきた「強レーザー場超高分解能フーリエ変換(SURF)分光法」の計測精度を2桁向上させ、分光計測によって達成できる原子や分子 の遷移周波数の計測精度を 9桁まで高めるため、長尺高精度干渉計を構築し、高強度超短パルスレーザー光によるポンプ・プローブ計測を行う。イオン収率の遅延時間依存性のフーリエ変換(FT)スペクトルから、原子、分子、分子錯体の中性およびイオン種の回転、振動、電 子状態の準位エネルギーを高精度で決定する。 イオン収率FTスペクトルの強度と位相に基づいて、分子および分子錯体の振動モードが励起さ れた場合のそれぞれの振動モードの振幅と位相のダイナミクスを明らかにする。 2021年度には、4f光学系を構築することによって、レーザーパルスのパルスコントラストの改善を行った。その結果、SURF分光法におけるACシュタルクシフトを0.1 ppb以下に抑えることが出来た。また、昨年度に開発した長尺干渉計とデータ取得システムを用いてArとH2分子の計測を行った。Arイオンのスピン軌道分裂エネルギーの測定においては、2.5時間の計測で8 ppbの相対精度が得られた。また、H2の測定においては、H2とH2+の振動回転スペクトルが得られた。測定は18時間行い、H2の基準振動数については、1.2 ppbの相対精度が得られた。この結果は、Ar、H2の先行研究よりそれぞれ11倍、30倍高い精度である。ただし、FTスペクトルの周波数の校正精度は18 ppbであった。なお、周波数の校正精度は積算時間を延ばすことによって改善することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究開発において、装置開発が終了し、本研究の目標のひとつであったppb精度のSURF分光計測が実現された。また、当初の予定通りパルスコントラストを改善させることによって、SURF分光法におけるACシュタルク効果を低減させた。その結果、ACシュタルク効果は1 ppbよりも十分小さく、ppb精度の計測において無視できるレベルとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021度の段階で、ppb精度のSURF分光を行うための装置開発が完了した。2022年度には、2原子分子、希ガス原子、希ガス2量体のSURF分光計測を行い、希ガス原子の場合は、電子状態の準位エネルギーを、そして、2原子分子、希ガス2量体の場合は、振動、回転、電子状態の準位エネルギーを ppb精度で計測する。
|
Research Products
(18 results)