2020 Fiscal Year Annual Research Report
Synapse nano-analysis for understanding of neural circuit formation
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20H00481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 繁男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60204012)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シナプス / 神経回路 / 細胞骨格 / 超解像顕微鏡 / インビボイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では明確な目標を持った三つの研究項目(A. B. C)を立て、この三つの研究を最終的に統合することによって「スパインのナノスケールでの構造の特徴に基づいた構造・分子動態・機能の関連性のモデル化」を目指している。 (A)スパイン構造が分子動態・機能に与える影響の定量的記述と鍵分子の同定:スパインのサイズはシナプス強度と関連している事が知られており、機能との関連からも重要であると考えられて来たが、サイズが1ミクロン程度と微小であり従来のイメージング手法では解析が困難である。今年度はシナプス前部との膜構造の関係、スパイン頭部の形態、スパインネックの三つに分割した定量化手法をまず実現し、それぞれのドメインの特徴を取り入れたスパイン評価法を検討した。更に膜表面に存在するneuroligin分子を検出する手法を検討し、シナプス前部との接着の評価が可能となった。 (B)シナプスの構造・分子動態・機能の関係性を説明するモデルの構築:項目Aでの計測と操作により、シナプス接着面、スパイン頭部、スパインネックについて、それぞれの構造・分子動態・機能制御についての知見が得られるので、これらのデータを利用して、長期的な回路再構成に関連する要素の検討を開始した。シナプス接着面のガウス曲率と膜分子の拡散制御に関する理論的な予測を実験的に検証するため、本年度はスパイン頭部の曲率計算を組織レベルで実施する技術を開発した。 (C)シナプスの構造パラメーターのin vivoへの拡張による回路レベルでの意味付け:AおよびBの実験により、スパイン安定化に寄与するパラメーターの候補を抽出し、それに基づいて組織レベルでのシナプス構造解析を実施する。本年度は組織拡大技術を最適化することでシナプス微細構造がどの程度保たれるのかを検証し、良好な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三つの研究項目の中で、項目(A)についてはスパインの構造を更にスパインとシナプス前部の接着面の特徴、スパイン頭部細胞質の特徴、スパインネックの構造の特徴という3つの要素に分割して解析する方法論の開発に取り組み、自動化された定量方法をほぼ完成することが出来た。またスパイン頭部の表面に存在する膜分子のイメージングにも成功した。項目(B)についてはスパイン頭部のシナプス前部との接着面の曲率の増大がシナプス膜分子、PSD分子の集積を誘導することを実験的に示すことを目標としており、そのための基礎となる膜表面の曲率計算の方法を本年度は確立することが出来た。項目(C)については海馬の回路構築をモデル系として利用して、学習関連神経回路におけるスパイン頭部の形態変化を抽出することが最終目標であり、そのための組織拡大手法を用いたスパイン微細構造の検出技術の確立が大きな課題であった。この点について本年度の検討によりほぼ問題点は解決された。
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Strategy for Future Research Activity |
項目(A)と項目(B)については従来の培養神経細胞における超解像顕微鏡手法を適用することで実験データの取得と数理科学的な解析が可能であるので、次年度も引き続きデータの取得とその解析手法の高度化を進めていく。項目(C)については組織レベルで学習後に活性化されたシナプス結合を同定する技術の確立が必要であり、現在その予備的な検討を開始している。組織拡大手法を用いてスパイン微細形態を正確に測定する事が組織レベルで実現されれば、学習により活性化されたシナプスの同定とその微細形態の解析が可能となる。当面の目標としてこの両者を統合した実験系の確立を目指す。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Canonical versus non-canonical transsynaptic signaling of neuroligin 3 tunes development of sociality in mice2021
Author(s)
Yoshida T, Yamagata A, Imai A, Kim J, Izumi H, Nakashima S, Shiroshima T, Maeda A, Iwasawa-Okamoto S, Azechi K, Osaka F, Saitoh T , Maenaka K, Shimada T, Fukata Y, Fukata M, Matsumoto J, Nishijo H, Takao K, Tanaka S, Okabe S, Tabuchi K, Uemura T, Mishina M, Mori H, Fukai S.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 1848
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Geometry and the Organizational Principle of Spine Synapses along a Dendrite2020
Author(s)
Parajuli LK, Urakubo H, Takahashi-Nakazato A, Ogelman R, Iwasaki H, Koike M, Kwon HB, Ishii S, Oh WC, Fukazawa Y, Okabe S.
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Journal Title
eNeuro
Volume: 7
Pages: 0248-20.2020
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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