2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝ネットワークによる生体制御およびその制御破綻による疾患メカニズムの解明
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20H00495
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
有田 誠 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (80292952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂質 / リピドミクス / 生理活性 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質代謝バランスがある一定の範囲に保たれることによって生体恒常性が維持されており、一方でこのようなバランスを制御するしくみが何らかの形で破綻してしまうことが、炎症・代謝疾患など様々な疾患の背後に潜むリスク要因となる可能性が指摘されている。今年度は、マウス腸内細菌由来の脂質代謝物の中から、in vitroでTregを誘導する活性フラクションを絞り込み、質量分析からリノール酸由来の9,10-dihydroxy-12Z-octadecenoic acid、および all-trans retinoic acid の同定に成功した。また、DHAなど長鎖多価不飽和脂肪酸の臓器選択的な分布に着目し、特定の組織や細胞で特徴的な脂肪酸環境の形成・維持に関わる分子機構の解析を進めた。その結果、ACSL6 (long-chain fatty acid acyl-CoA synthetase 6)が網膜に特徴的なdi-DHA/ULC-PUFA含有リン脂質の生合成に寄与するという新たな知見を提供した。さらに、ACSL6 欠損マウスでは若年齢時において網膜変性を伴わない視細胞機能低下を有すること、網膜変性が加齢依存的に生じること、および網膜変性初期にレチノイドサイクル異常が生じている可能性を見出した。その他、ω3脂肪酸レベルを時空間的に制御できるコンディショナルFat-1トランスジェニックマウス(Fat-1 cTg)の作成および繁殖に成功しており、今後はFat-1トランスジェニックマウスで認められた多くの表現型(炎症ストレス抵抗性、代謝改善作用、神経保護作用、抗がん作用など)における責任細胞および代謝経路の解析を進め、ω3脂肪酸の機能性発現機序の解明、および新たな創薬シーズおよび治療標的の同定を目指す準備が整った。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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