2022 Fiscal Year Annual Research Report
Maximum accuracy and application of diagnostic performance by integrated analysis of cancer exosome antigen and internal RNA information
Project/Area Number |
20H00541
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 秀始 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (10280736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 祐一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20291445)
江口 英利 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90542118)
谷口 正輝 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40362628)
落谷 孝広 東京医科大学, 医学部, 教授 (60192530)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | エクソソーム / RNA修飾 / 難治がん |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、今年度は特に海外での進捗を踏まえて、ステージ別予後分類、免疫間質の応答の検討、層別化クラス分類の検討を進めつつ、以下の項目の研究を進めた。 (1)メカニズム解析:多彩なRNA修飾の生物学的な意義の把握と医学応用のための展開に焦点を当てて研究を進める。前臨床試験で臓器組織のメカニズムを明らかにし、ヒト手術材料と術前術後の血清・尿を用いて診断と創薬の基盤を構築した。RNA修飾酵素複合体を組織特異的に発現させるテトラサイクリン条件付き誘導システムを用いて、がんバイオマーカーにおけるRNA修飾を中心とした全オミックス情報の重要性をシングル細胞解析で明らかにした。 (2)バイオプシー:リキッド・バイオプシーとソリッド・バイオプシーからRNA修飾を中心とした全オミックス情報を取得する。そのために、各組織からRNAを抽出してEx-TRを実施した。同一の試料から全オミックス計測して多層性に解析した(mRNA発現量とスプライシング;マイクロRNAの発現量;DNA変異とコピー数およびメチル化)。さらに腫瘍の組織でシングル細胞解析(10x)を実施し、上皮と間質に区分したデータを取得し、バイオマーカーで得られる情報の細胞の起源を検討した。 特に前年度は新型コロナ感染症の影響を受けたが、今年度は研究開発の業務の内容を時間毎の割り振りやオンライン化の積極的な採用により円滑に進めることができた。シークエンスに基づくオミックス情報の解析も、計算ベースの検討をスピード感を持って進めた。動物実験に関して、大阪大学では本年度より新しい実験施設がリニューアルされたので、本研究におけるメカニズム解析でも研究の進捗を図ることができた。さらに大学院生も投入し、次世代を担う若手人材の育成にも反映させ、本研究事業の内容のインパクトの波及も戦略的に行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
《課題1》RNA修飾の情報を活用するにあたり、抗原 (Exo法)とRNA修飾 (TR法)の統合解析(Ex-TR法)で実用化を進め、他の方法と比較しながら「診断」精度を高めつつ適応範囲を確定した:膵がんとともに他がんに対象を広げてリキッド・バイオプシー材料を収集し、がん特異的な『殻』であるEVの抗原に応じて、その『中身』のRNA修飾情報を直接取得する技術を完成させた。 シングル細胞解析による細胞毎の情報と、『殻』であるEVの抗原の情報、および『中身』のRNA修飾の情報を、動物モデルとヒト手術材料を用いて比較した。動物モデルとしては、RNA修飾としてのメチル化を誘導する酵素(Mettl3)のトランスジェニックマウスを用いて検討した。 ヒト手術材料としては、膵がんを中心として、その比較となる他の癌腫のサンプルを取得して検討した。他の癌腫として、胆道がん、大腸がん等の消化器がんに加えて、肺がん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍等の固形がんを含めて検討した。 《課題2》RNA修飾の情報をどのように「疾病制御」に応用できるか明確にするため、バイオマーカーを基軸としたメカニズム解析を進め、POC(Proof-of Concept)を確保した。EVとRNA修飾を着眼点としたがんの悪性化メカニズムを前臨床試験で明らかにし、がんのRNA修飾を標的にしたコンパニオン診断技術を完成させた。コンパニオン診断技術として、体の深部のRNA修飾の情報と、血液の情報を、動物モデルとヒト手術材料を用いて比較した。 動物モデルとヒト手術材料としては、上記と同様にして検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
がん幹細胞のRNA修飾酵素Mettl3等のDNA変異、mRNAメチル化、スプライシングを検討し、EX/MVがRNA修飾を介して、がん幹細胞に与える影響を解明した。 バイオプシー試料のRNA修飾と全オミック情報を用いて、従来では得られなかった間質や免疫細胞の応答を可視化して理解し、さらに傾向標識したRNA修飾酵素Mettl3等の過剰発現マウスの組織を用いて個体レベルの各臓器(消化器、皮膚、肺、リンパ組織)で検討を進した。 がん患者のEXとMVから蛋白解析で抗原を同定し抗体を用いてEx法を組み立てる開発を進め成功した。Ex法で取集した試料からTR法で計測した。 がん細胞由来のPdl1陽性のEX/MVとその内部のマイクロRNA修飾に焦点をあて、RNA修飾酵素におけるDNA変異の有無、マイクロRNAメチル化と標的mRNAの関係、mRNAメチル化とスプライシングの関係、mRNAメチル化と半減期の関係、mRNAのメチル化と翻訳量の関係を検討し、免疫チェックポイントの関わりを解明した。 分子マーカーとして、膵がん(CD133/c-Met)、乳がんCD133/CD44)、肺がん(CD133/CD44/SFT)の手術材料および細胞株からMACSでがん幹細胞とEX/MVを分離、がん幹細胞の集団をFACSにより採取し、免疫不全マウスでPDXまたは移植モデルを作成して個体から細胞とEX/MVを分離し解析、前述の自然発がんモデル(テトラサイクリン条件付き誘導システムによるRNA修飾酵素の発現制御マウス)を用いて細胞を分離し解析した。EX/MVのRNA修飾が、がん幹細胞に与える影響を明らかにした。 計測結果を新たな知財として整備し、大学発企業の基本シーズとして進めるように展開している。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Pancreatic Cancer Research beyond DNA Mutations2022
Author(s)
Sato Hiromichi、Sasaki Kazuki、Hara Tomoaki、Tsuji Yoshiko、Arao Yasuko、Otsuka Chihiro、Hamano Yumiko、Ogita Mirei、Kobayashi Shogo、di Luccio Eric、Hirotsu Takaaki、Doki Yuichiro、Eguchi Hidetoshi、Satoh Taroh、Uchida Shizuka、Ishii Hideshi
-
Journal Title
Biomolecules
Volume: 12
Pages: 1503~1503
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-