2020 Fiscal Year Annual Research Report
網膜メラノプシン細胞による生体への影響の解明:心理学・生物学・工学の手法を用いて
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20H00614
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
辻村 誠一 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (10381154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼野 利佳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30462716)
太田 英伸 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (80422103)
樋口 重和 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00292376)
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40295275)
鯉田 孝和 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (10455222)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メラノプシン / ipRGC / mRGC / 瞳孔 / 概日リズム / 光環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年頃、網膜にメラノプシン細胞と呼ばれる新たな光受容器が発見された。メラノプシン細胞は概日リズムや瞳孔の対光反射、明るさの知覚等、様々な影響を生体に与えることが報告されている。研究代表者は先行研究においてメラノプシン細胞のみを選択的に刺激することが可能な刺激装置を開発し、メラノプシン細胞の生体への機能解明に取り組んでいる。本研究課題では、メラノプシン細胞の生体への影響を実験心理学、生物学、工学的手法を用いて包括的に解明することを目指す。2020年度は、辻村らが開発した多原色光源刺激装置を用いて、メラノプシン細胞のみを選択的に刺激し、明るさ知覚への寄与に関する実験を立ち上げた。従来の刺激条件よりも自然光に近いスペクトラムを用いた。このことにより、より自然環境に近い光環境で実験を進めることが可能となることが期待される。この実験環境によって、心理物理学実験を実施し、基礎的なデータを取得した。国立台湾大学とメラノプシン細胞の視聴覚統合過程への影響に関する論文、および高知工科大学とメラノプシン細胞の明るさ知覚への寄与についての論文をまとめた。 さらに国立台湾大学との共同研究を進め、メラノプシン細胞の明るさコントラスト感度への寄与について、詳細にデータを解析し現在論文の執筆中である。工学的研究ではこれまでに得られた知見をもとに新たな多原色光源刺激装置を試作した。従来の装置と比較して、光源を安定化させることにより、高精度の刺激の提示が可能になることが期待される。2021年度には装置の性能をより詳細に検証し、引き続き開発を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では海外の共同研究先から博士研究員の雇用を予定していたが、COVID-19の影響が長引き、渡航制限のため雇用を断念せざるを得なかった。対応として2021年度以降に実施予定であった多原色光刺激用LED照明装置の制作・開発を実施しているため計画に大きな影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では海外の共同研究先から博士研究員の雇用を予定していたが、COVID-19の影響が長引き、渡航制限のため雇用を断念せざるを得なかった。対応として2021年度以降に実施予定であった多原色光刺激用LED照明装置の制作・開発を実施した。ワクチンが普及し渡航制限が緩和され次第、博士研究員を雇用する予定 である。可能であれば、2021年10月頃を目処に博士研究員の雇用を考えている。博士研究員の雇用後は2020年度に予定していたメラノプシン細胞の機能解明に関する基礎実験を実施する予定である。2021年度以降に予定していた業務を2020年度に実施することによって、全体として研究計画に大きな支障はないと考えている。
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