2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H00632
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤松 良久 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30448584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 遼平 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授(特命) (10814618)
嶋寺 光 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (20647367)
乾 隆帝 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (20723844)
栗田 喜久 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40725058)
鬼倉 徳雄 九州大学, 農学研究院, 教授 (50403936)
源 利文 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50450656)
間普 真吾 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70434321)
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノロウイルス / DNA/RNA / 環境DNA / 流域 / 海綿 / パッシブサンプラー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,河川水中に低濃度で存在するウイルスの高感度な濃縮・検出方法の検討・開発を行った.当該年度に実施した椹野川流域の河川水および下水処理場放流水中のノロウイルス調査では,既報で水中のウイルス濃縮法である陰電荷膜破砕型濃縮法(Haramoto et al. 2012)を適用し,ノロウイルス GI(HuNoV GI)の検出を行った.しかし,HuNoV GIは流行期の下水放流水でのみ検出され,河川水試料では,より高感度な濃縮・検出法を適用する必要性が確認された. そこで,蓄積型パッシブサンプラーとして海綿に着目し,河川水に浸漬した海綿からのノロウイルスの検出・定量を試みた.また,浸漬後の海綿から回収した試料の濃縮・精製には,Promega社のViral RNA/DNA Concentration and Extraction Kits for Wastewaterを採用した.その結果,海綿試料から,HuNoV GIが検出され,定量値は下水処理場の河川放流口に近い地点で,より高濃度であった.ゆえに,海綿を用いた採取手法は,河川水中のノロウイルスの定量に有効であることが示された.また,汚染源に近い地点でより高濃度でHuNoV GIが定量された結果は,相対値ではあるが,海綿試料により,河川水中の汚染レベルを評価可能であることが示唆された.これにより,汚染度が低い河川水において,ノロウイルスの検出が可能であり,流域動態を解明する上で必要な情報の回収が期待された. また,大気中のウイルス動態把握を目的とした空気サンプル採取手法の検討として,3種類の乾式サンプラー(サイクロン型2種,フィルター型1種)の比較を,リポソーム封入トレーサーを噴霧し行った.その結果,フィルター型空気サンプラーによる回収率が最も高く,空気中のウイルス回収に適切であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は水中・水産物中のノロウイルスの高精度分析法の開発という目標を十分に達成した.海綿を用いた蓄積型パッシブサンプラーは大きな注目を集めている.また,空気中のウイルスの採集についても最適な方法を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は椹野川流域でのノロウイルスモニタリングを実施し,新たに開発した水中および空気中のノロウイルスの高精度分析法を用いて分析する.これらの結果をもとに流域内のノロウイルスの動態について検討する.
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