2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theory and practice of an innovative reaction process for recovering resource from industrial emissions CO2, which is developed by a novel methanation system operated at a room temperature
Project/Area Number |
20H00642
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 芳海 静岡大学, 工学部, 准教授 (50334959)
武田 和宏 静岡大学, 工学部, 准教授 (60274502)
立川 雄也 九州大学, 工学研究院, 助教 (70587857)
渡部 綾 静岡大学, 工学部, 准教授 (80548884)
小倉 鉄平 関西学院大学, 工学部, 教授 (90552000)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | CO2資源化 / メタン化反応 / 構造体触媒 / オートメタネーション / ドライ改質反応 / 合成ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、産業プロセス排出のCO2を、濃縮分離操作なしに空気が混在したまま、25~100℃の低温域でCO2を効率的で大量にCH4資源に変換する触媒反応システムの構築を目的とする。また、生成したCH4とCO2から合成ガスの製造と有用化学品の製造を実施する化学プロセスの開拓を検討する。今年度の研究推進から、以下の研究成果を得た。 1.昨年度に構築した2連式のラボレベルCO2処理装置(ダブル反応場、スパイラル形触媒を使用)を用い、メタン化処理時の原料ガスの組成変化や流量変化が反応特性に及ぼす影響を調査した。構築した装置はCO2濃度やガス流量を種々変化しても高いメタン化処理能力と優れた熱エネルギー制御性を示し、充填型触媒システムでは実現できない特性を発揮することがわかった。 2.構築した装置は、流量3~7L/minの高速条件下(接触時間は0.5秒以下)でも高性能なメタン化特性を示し、室温域でも発現できた。エクセルギーを指標としたシステム評価から、通常のメタン化反応よりもO2共存は熱力学的に優位であることを明らかにした。 3.触媒の組み合わせを検討し、第一段反応場にNi系触媒と第二段反応場にRu系触媒が装置の運転性と経済性から好ましいことがわかった。また、スパイラル形のツイスト比は物質拡散と熱拡散に大きく影響し、高いツイスト比がメタン化活性を向上させた。 4.スパイラル形を主とした高性能なドライ改質用Ni系構造体触媒の創製に成功し、それを用いたラボレベルの合成ガス製造装置を構築した。装置は、1L/minの多量のドライガス供給量でも高いドライ改質特性を示した。 5.Ni系構造体触媒が高流量のドライ改質条件でも少ない触媒劣化特性を示した理由を調査し、触媒調製法に採用した無電解めっきの工程がNi元素に炭素析出抑制の電子的な効果を与えることがわかった。この効果の最適化でより高性能な触媒創製となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
メタン化反応とドライ改質反応に対する高性能な構造体触媒の開発にそれぞれ成功し、またメタン化反応における原料ガス中のO2共存の効果が活性促進と操作性に予測以上のプラス効果をもたらした。そのため、両反応を連結した反応システムの検討にまで進み、本反応システムの実用化に向けた有意義なデータが採取できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
R3年度に整備したラボレベルのメタン化装置とドライ改質装置を活用し、以下の項目について研究推進を図る。 1.構築したメタン化装置の処理能力について前年度から継続した評価を実施する。その際、供給ガスは産業プロセスから排出される実際の排ガスを用い、CO2の濃縮分離操作なしにO2共存のままで特性を評価する。実ガスには工場などの大規模設備や発電機エンジンなどの小規模設備からのものを利用する。 2.1で得られるデータをもとに、実ガス使用とO2共存で実施するメタン化システムの効率性についてエクセルギー評価からその熱力学的な優位性を検討する。検討では、通常の触媒充填型メタン化システムでO2共存なしの場合と比較する。 3.構築したラボレベルのドライ改質装置を用い、大供給量(1L/min以上)における開発Ni系構造体触媒の長期耐久性を評価する。その際、無電解めっき時のめっき時間の変化や下地層への第二成分添加の効果について検討する。 4.3の実施で判明した耐久性のあるNi系構造体触媒について、物理化学的な物性測定(表面構造、元素分布状態、電子的な特性など)を実施する。そして、得られる物性データから触媒の長期耐久性の最適化やさらなる長期化について検討する。 5.ドライ改質後の合成ガスを用いた、FT合成による有用化合物の製造システムについて検討する。FT合成のための触媒探索からスタートし、初めから構造体触媒システムでの最適な触媒系を選定する。
|