2021 Fiscal Year Annual Research Report
臨床がんの遺伝子情報維持に必要な物理化学的因子の解明とがん個別化医療への応用
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20H00665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 典弥 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00419467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 秀始 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (10280736)
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
西原 広史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50322805)
片山 量平 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 基礎研究部, 部長 (60435542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん細胞 / 三次元培養 / 物理化学的因子 / 生物学的因子 / 遺伝子発現 / 組織工学 / 薬物感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①物理因子として弾性率制御可能なコラーゲンゲルの表面及び内部で大腸がん細胞を培養し、弾性率のがん細胞の増殖への影響を明らかにした。コラーゲンマイクロファイバー(CMF)を用いた場合に可能な弾性率制御範囲は80 kPa以下に限られていた。本年度、遷移金属イオンを用いることで、コラーゲンが5分以内に速やかにゲル化して透明なゲルを形成できるだけでなく、1 MPaを超える弾性率を有することを新たに見出した。遷移金属イオンとコラーゲンの濃度を制御することで、数 kPaから1.2 MPaまで1000倍の幅で弾性率を制御できることが明らかとなった。本ゲルは、広範囲で弾性率を制御可能なコラーゲンゲルとして応用が期待される。 ②生物学的因子として細胞増殖因子のがん細胞への影響を評価した。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)や塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の患者由来がん細胞(PDC)への影響を評価した。昨年度用いた株化細胞と同様に検討した結果、およそ同程度の濃度範囲で血管網形成が促進されることを見出した。また、弾性率を変化させて増殖因子を添加すると、血管網形成が異なる予備知見が明らかとなった。 ③ハイスループットスクリーニングへ応用する目的で、96ウェル内での弾性率制御がんモデルの構築に関して最適化を行った。CMFの量と細胞数を制御することで、96ウェルの小さな体積でも培養維持できる条件を見つけることができた。 以上より、当初の予定通り研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究項目を実施した。具体的には、①物理因子として弾性率制御可能なコラーゲンゲルとして、遷移金属イオン架橋という独創的な新規ゲル化技術を見出すことができた。幅広い弾性率制御が可能であるだけでなく、5分以内の短時間で透明なゲルが得られるため、本技術は、広範囲で弾性率を制御可能なコラーゲンゲルとして応用が期待される。 ②生物学的因子として細胞増殖因子のPDCへの影響を明らかにすることができた。物理因子と生物学的因子の融合効果に関する予備知見が得られた。 ③ハイスループットスクリーニングへ応用する目的で、96ウェル内のの小さな体積でも培養維持できる条件を見つけることができた。 以上より、当初の予定通り順調に研究を進展可能であり、一部予想を上回る研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定通り、①遺伝子情報維持に必要な間質組織の物理化学的因子の解明、②物理化学因子と生物学因子の融合によるがん細胞の性質維持への最適化、③ハイスループットスクリーニングに対応した三次元培養法の創製、に取り組む。 ①では、新しく見出した弾性率制御ゲル化技術をもとにがん細胞の性質維持への影響を明らかにする。②では、本年度見出した物理化学因子と生物因子の融合について詳細に検討する。③ハイスループットに適した三次元培養条件の最適化に取り組む。
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