2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Historical Development of French Romanticism; literature, politics, aesthetics
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20H01249
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菅谷 憲興 立教大学, 文学部, 教授 (50318680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数森 寛子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10588239)
真野 倫平 南山大学, 外国語学部, 教授 (30257232)
片岡 大右 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師(非常勤) (30600225)
海老根 龍介 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40439500)
山崎 敦 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (70510791)
中島 太郎 中京大学, 国際学部, 准教授 (70802867)
辻川 慶子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (80538348)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロマン主義 / フランス文学 / 政治 / 美学 / 歴史 / 宗教史 / 旅行記 / 哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、研究代表者・分担者が各々担当する領域についての知識を深め、それを成果として発表することに努めた。研究会については、全5回のうち3回は科研のメンバー以外の研究者を講師に呼び、それぞれ反ロマン主義の問題(第1回)、ロマン主義時代の旅行記(第4回)、二十世紀哲学から見た十九世紀文学史(第5回)について発表してもらった。詳細は以下の通り。 1.8月8日(日)14:00~17:00 発表者:鈴木和彦(明治学院大学)「1830年代の反ロマン主義:デジレ・ニザール『頽廃期のラテン詩人の風俗および批評研究』から」/2.9月18日(土)14:00~17:00 発表者:辻川慶子「ネルヴァル・ファンテジスト――ファンテジー、虚報、幻想」/3.11月21日(日)14:00~17:00 発表者:中島太郎「19世紀半ばにおける宗教知の変遷:フローベール、ルナン、ミシュレを中心に」/4.1月8日(土)14:00~17:00 発表者:畑浩一郎(聖心女子大学)「ギュスターヴ・フローベールの見たエジプト」/5.3月12日(土)14:00~17:00 発表者:澤田直(立教大学)、コメンテーター:鈴木啓二(東京大学)、山崎敦「サルトル『家の馬鹿息子』第3巻(邦訳第5巻)をめぐって」 またコロナ禍のため、当初3月に予定していたイベントを一年延期することになり、少なからぬ金額を翌年に繰り越すことになった。最終的に、2023年3月7日・8日(立教大学)、10日(中京大学)に、フランスおよびアメリカから5名の外国人研究者を招聘し、国際シンポジウム「ロマン主義と第二帝政期の文学」を無事開催することができた。さらに、3月11日には若手研究者2名の発表を中心に、「フローベールとボードレール」と題した研究会を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
定期的に研究会を開催し、ロマン主義とポストロマン主義の関係について活発な議論をかわすことができた。二年目は、ロマン主義勃興期の反ロマン主義の潮流や、同時代のジャーナリズムや旅行記、さらに宗教思想とのかかわりなど、ロマン主義にまつわる様々なトピックスを扱った。また、邦訳が完結したばかりのサルトルの『家の馬鹿息子』を取り上げて、その提示する十九世紀文学史観について検討することができたのも有益であった。 本研究計画二年目の最大の目標は、当初から国際シンポジウムの開催であったが、コロナ禍の影響で一年延期を強いられたとはいえ、結果として3日間にわたるシンポジウムを成功裡に終えることができた。特筆すべきは、フランス語通訳なしの催しだったにもかかわらず、3日間とも多くの聴衆が集まり、熱のある議論が繰り広げられたことである。このことは、本シンポジウムの問題設定が単に学術的に重要であるのみならず、現代社会にとってアクチュアルな意味を備えていることを示しているといえよう。またシンポジウム初日には、学術発表に加えて、ボードレールと音楽との関係をめぐるレクチャーコンサートも行い、研究者にとどまらぬ多様な聴衆の好評を博することができた。さらにシンポジウム翌日には若手研究者の発表を中心にした国際研究会を催し、これからの文学研究の方向性について、海外の研究者をまじえて活発な議論がかわされた。全体として、移動日を含むシンポジウムとそれに続く国際研究会の計5日間を、日本人とフランス人の研究者が共有することにより、zoomによる研究発表では得られない濃密な意見交換を行うことができたのは大きな収穫である。最後に、今回の国際シンポジウムの成果をフランスの学術雑誌に特集号として出版することが決定しており、現在詳細を交渉中である。以上のことから「(1)当初の計画以上に進展している。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目以降も研究会を開催し、お互いの研究成果を発表して議論することが、メインの活動となる。従来通り、本科研のメンバーのみならず、定期的に外部の研究者を発表者もしくはコメンテーターとして招聘していくつもりである。国際交流に関しては、三年目もフランス人研究者を招聘して、公開講演会を開催したいと考えており、ボードレールの専門家、および十八世紀の専門家を呼ぶ方向で調整している。特に後者については、ロマン主義の提起する諸問題を考える上で、十九世紀後半や現代といったロマン主義以後の作家と比較するのみならず、ロマン主義以前の文学や思想にも視野を広げる必要を実感していることもあり、実現した暁にはきわめて意義深い催しになると思われる。また、12月にパリで開かれる「フローベールとイメージ」をめぐる国際シンポジウム(当初2021年11月に開催予定だったものがコロナ禍のために延期)に、菅谷・山崎の二名が招聘されており、本研究の成果を活かした研究発表を行うつもりである。 本研究もちょうど中間点をすぎたところであり、今後は今までに以上に研究成果の発信に力を注いでいくことになる。特に国際シンポジウム(コロナ化のため2021年度予算を繰り越して、最終的に2022年度に実施)の成果については、なるべく早期の出版を目指している。現在、フランスの国立科学研究センター(CNRS)の一機関である近代テクスト草稿研究所(ITEM)の主管する学術雑誌に、シンポジウムの原稿を二号にわたって特集号として掲載する方向で大筋合意しており、そのための細かい点について調整中である。また、定期的に開いている研究会の成果についても、何らかのかたちで日本語の書籍としてまとめたいと考えている。
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Research Products
(46 results)