2021 Fiscal Year Annual Research Report
多様な場面の日常会話データに基づく子どものコミュニケーション行動の解明
Project/Area Number |
20H01264
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 智世 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00361296)
遠藤 智子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40724422)
居關 友里子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70780500)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども会話 / 日常会話 / 話し言葉コーパス / コミュニケーション行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
■ 会話収録・データ整備:子どものいる調査協力世帯7世帯10児を対象に、引き続き毎月約1時間の会話収録を継続して実施した(うち1世帯は11月に収録終了)。収録した映像・音声データのメタ情報の整理、概要確認、映像音声の同期処理、及び文字化を進めた。 ■ 研究の推進:収録したデータ、および「日本語日常会話コーパス」など既存のデータを活用し、次の研究を実施した:(1)日本語を母語とする幼児が助詞の「は」を使用しはじめた時期に頻繁に用いる[NP(名詞句)+は?]という形式の発話を会話分析的に分析し、[NP+は?]型ターンの多用は、幼児が、NPの指示対象をめぐって養育者とのやりとりを展開し、自身を取り巻く日常世界についての理解を獲得するための極めて有効な手続きであることを明らかにした。さらに、このような子どもの「は」の使用の分析を踏まえ、従来「トピックマーカー」と呼ばれてきた助詞の「は」の本質について新たな視点を提示した、(2)子供が発話順番を取得・維持することや、産出する発話を他者に聞いてもらうために、どのような振る舞いを行っているのかについて、子ども同士の話し合い場面を対象に分析を行った、(3)日中バイリンガル児を対象に、養育者とのコミュニケーションの中でどのように言語発達が進むかについて、特に子どもの「シェイシェイ(ありがとう)」の使用場面に着目し、相互行為上の特徴を分析した、(4)家庭内における物の受け渡しが達成される際にみられる言語と身体の協働や、遊びの場面における感情表出、および宗教儀礼に子どもが参加する際のスタイルシフトや参与構造の変化について、データの詳細な分析に基づいて議論し、論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大による影響に伴い、会話データ収録が予定通りに実施できていない。分量的にはほぼ予定通り進んでいるが、計画では家庭での収録だけでなく友達や親戚など多様な話者との会話も収録することとしていたが、コロナによる活動制限のため、2021年度についても家庭での家族との会話が収録の中心となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度もコロナの影響が続くことを見越し、Zoomなどオンラインで友達や親戚と話す機会があればそれを収録場面に加えるようにする。 活動制限のため会話相手・場面の偏りは多少はあるものの、データ量としては順調に収録が進み文字化テキストも揃ってきたため、形態論情報などのアノテーション作業も進め、研究に利用できるようにする。
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Research Products
(7 results)