2020 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the Archaeological Site of the so-called "Villa of Augustus" in Somma Vesuviana and its Cultural History. A Case of Reconstructing Memories of Classical Antiquity.
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20H01299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村松 真理子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80262062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 俊一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70159606)
松田 陽 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00771867)
芳賀 京子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80421840)
日向 太郎 (園田太郎) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40572904)
杉山 浩平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (60588226)
奈良澤 由美 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60251378)
中川 亜希 上智大学, 文学部, 准教授 (80589044)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古代ヴィラ遺跡 / 古代 / 考古学 / イタリア文化史 / 火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の本研究は、世界的な新型コロナ感染症の流行と安全対策や渡航制限の影響を受けた。その状況下において、以下のようにそれぞれの分野での研究を進めた。 I イタリアにおけるソンマ・ヴェスヴィアーナ市古代ヴィラの発掘調査の学際的研究とヴェスヴィオ山南麓地帯の考古学調査に関しては、現地での新たな作業と分析による研究成果を、可能な限り各研究分担者とイタリアの現場とで共有することを試み、2回の繰り越しを行わざるをえなかった。現地調査自体、2020年度は同地の安全対策と法的制限の中で考古学的調査の作業自体を行うことが非常に困難だったが、新たな状況下で発掘計画を検討し、まず実行可能であった土木的な準備作業を集中的に行った。その上で、複年度で、例年よりは限定的であったが、考古学的調査・分析を再開し進行うすることが可能となった。 残念ながら計画通りに研究分担者全員が現地に赴いて、調査作業に参加したり成果を現場で確認・共有することはかなわなかったが、代表者は極力足を運び、2021年度以降再び現地での発掘調査に毎年参加している研究分担者杉山氏と東京大学発掘チームと協力しつつ、他の研究分担者とも通信手段を用いての意思疎通をはかったり、研究成果に関する情報を共有したりした。2020-2021年度の変更後の計画に従った発掘調査の結果から、古代ヴィラのより深い部分の遺構に関し、新たな年代に関する有力な仮説が浮上した。 II 文書資料・先行研究に関する調査は、それぞれの専門の担当分野に関して個々の分担者が進め、中世・古代との関わりや、文化財保存学や歴史的テクストの研究に関し、広い視点から文化における「記憶」「忘却」と回復のテーマをめぐって、個別の研究を進めた。 III 発掘現場と個別の研究状況についての情報の確認と意見交換の会議は、現地で限定的に交流したほか、ズームを用いたオンラインで年度内に複数回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症流行でさまざまな法的規制もあり、現地での調査を基本にした研究計画は変更を余儀なくされた。ただし、2020年度の研究実績をあげるために事故繰越にて、研究計画を見直すことを2回繰り返し行ったおかげで、現地での発掘計画を複年度で見直し、さらにズーム等の通信手段を利用することで共有することも可能となったので、当初の研究計画の目標をおおむね進展させることができたと言える。また、安全に関する法令等を遵守した上での渡航調査を実現しつつ、現地での調査を合理的に進めることに努めたので、現地研究者との協力をさらに深め、新たな年代に関する仮説や、最新の文化財保存や利用に関する研究を行うことができた。さらに最終年度に開催予定の国際シンポジウムへの基盤を固める作業と研究者間のネットワークの構築にむけて、2年間にわたって、初年度に目標としてきた企画や準備を進めることができた。研究協力者間の意見交換およびナポリ大学、スオールオルソラ大学、パヴィア大学等の研究者との交流に関しては、対面で行うのが難しかったものの、現地での調査期間中およびズーム・メールの通信手段を用いたり、再開できた出張調査旅行によって、かなり効率的に行うことができたと言える。さらに、ソンマヴェスヴィアーナ発掘調査を進めている東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域文化研究機構地中海部門がドキュメンタリージャパン社と制作し、2020年度に完成した研究成果をたどるドキュメンタリー映像を、本研究プロジェクトとしても協力しつつ、公開や各大学での授業等の利用に結びつけることができた。(現在までに関わってきた他分野の研究者による対談とドキュメンタリーの公開を軸とするシンポジウムは2021年に行った。)
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に予定している国際シンポジウム開催を最終的な成果発表の機会ととらえて、研究計画をつめながら進めていく。大きな方針としては、当初からの計画通り、(1)具体的な現場での考古学的研究調査の継続と、(2)複数分野の方法を用いた研究協力者の個別研究、(3)成果共有のための国際シンポジウム開催のための準備とそのためと研究成果共有のためのミーテイングという3つの柱で進めていく。 具体的な内容としては以下。 I 文化遺産をさまざまな破壊から保護し継承するという世界の今日的課題に対して、歴史的文化財研究調査の国際的な実践としてのソンマ・ヴェスヴィアーナ古代ローマヴィラ遺跡発掘の考古学調査をすすめ、その成果とモデル化から学術的な統合的人文知の役割と、国際的文化政策に関する新たな展望を提供することをめざす。 II 個々の研究者の人文学のさまざまな方法と分野(考古学・歴史学・美術史学・古典学・テクスト分析等)による関連領域と方法論に関する個別研究を引き続き進める。 III 発掘現場と個々の研究状況についての情報の確認と意見交換の場としてのミーティングを開催する。さらに成果発表のための国際シンポジウム開催を目標として準備を具体化する。そのために、コロナ後に再開しつつある対面の会議とズームによるミーテイングをより頻繁に行った上で、最終シンポジウムでの発表において全体として統合的な見取り図と理論的モデルを提示することをを目指す。 I に関して、現場での調査と成果の共有を引き続き行う。IIに関して、個々の調査を可能な限り進めるため、コロナ禍で行えなかった海外での資料調査などの可能性も考えられる。IIIに関しては、残り研究期間の限られた時間の中で成果をまとめるために、なるべく緊密な連携を目指し、最終シンポジウムの計画実現にむけて進めたい。
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Research Products
(19 results)
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[Book] ギリシア陶器2021
Author(s)
エリカ・ジーモン著、芳賀 京子、藤田 俊子共訳
Total Pages
568
Publisher
中央公論美術出版
ISBN
9784805508909
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