2021 Fiscal Year Annual Research Report
埴輪の生産・流通体制の総合的検証にもとづく王権中枢部巨大古墳群造営過程の解明
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20H01363
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
廣瀬 覚 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (30443576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 亮 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 研究員 (30770193)
和田 一之輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40416409)
松永 悦枝 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (40625927)
東影 悠 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 主任研究員 (60470283)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 埴輪 / 生産 / 流通 / 三次元計測 / 王権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる本年は、昨年度に引き続き、奈良市平城宮東院下層埴輪窯、およびその周辺から出土した埴輪の資料化を鋭意進めた。学生アシスタントを雇用し、随時、出土次数や層位、器種や部位を確認しながら、基礎情報を台帳に記録しつつ、三次元モデル作成のためのデジタル画像の撮影、および撮影画像の基礎処理を実施した。蓄積した画像データは、Agisoft社のMetashape Proを使用して、三次元モデルに変化する作業を継続した。 これに併行して、器表面の遺存状況が良好で、ハケメパターンを抽出できる資料については、悉皆的にデジタルカメラでスケール入り写真を撮影し、倍率を調整して、ハケメパターンの異同を検討した。また、胎土の科学分析にも着手した。今年度は、野焼き、窖窯焼成資料、両者について、それぞれ色調の異なる資料を2点ずつ、合計4点抽出し、ICP分析による高精度材料調査と通常の蛍光Ⅹ線分析の両者を実施し、双方での成果の照合を行った。 土師器・須恵器資料については、昨年度、ピックアップした資料を中心に実測作業を進め、編年的な位置づけについて、基礎的な検討をおこなった。 さらに、他機関資料については、分担者、協力者が鋭意、資料の図化や分析を実施し、の報告、論文等でその成果を公表した。 2022年2月26日には、分担者・協力者が参加して、オンラインにて検討会を実施し、今年度の成果を共有するとともに、来年度の作業計画の確認をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、所蔵状況を確認した各機関の対象資料について、今年度は分担者、協力者で鋭意、資料化や分析を進展させることができた。とりわけ、埴輪の生産・流通状況の把握において重要となるハケメパターンのデータ化について、平城宮東院下層のピックアップ資料について、全点、データを採取することができた。 ただし、三次元計測については、モデル作成のためのデジタルカメラ撮影までで作業が中断しているものが多数ある。また、他機関所蔵資料については、ハケメパターンの収集・分析等、細かな検討が未着手である。胎土分析についても、今年度の基礎的検討を踏まえて、次年度以降、サンプル数を蓄積していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
三次元計測用に蓄積した画像データでモデル未作成のものについては、PCを複数台稼働させて、モデル化を急ぐ。また、作成したモデルを実測図として出力する作業、および平城宮東院下層窯の消費地資料の三次元計測をを学生アシスタントを雇用して鋭意進める。 他機関所蔵資料のハケメパターン、および胎土分析用のサンプル収集については、合意に基づいてデータ提供を得る。また、必要に応じて資料所蔵先に出向き、資料調査、データ収集を行う。
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